日医ニュース 第886号(平成10年8月5日)

介護保険制度の概要(2)

要介護認定 その1


 「介護保険制度の概要」シリーズの2回目は、本年のモデル事業から変更される要介護認定方法とその流れについて解説する。

1.要介護認定方法
  

 1)訪問調査:従来の選択式の調査事項(73項目)、記述式の特記事項に加えて、特別な医療に関する調査事項(12項目)を調査する。

 2)審査判定:審査判定は、以下の5行為に要するケア時間を用いて行う。

   (1)直接生活介助(ADL)

   (2)間接生活介助(IADL)

   (3)問題行動関連介助(痴呆)

   (4)機能訓練関連行為

   (5)医療関連行為(12項目)

 3)認定の流れ

(1)選択式の調査事項(73項目)より、上記の5種類の介助および行為に要する時間を個別に推計する。

(2)要介護認定は、上記の5種類の介助および行為に要する時間の和を求めたうえで、時間単位で表示される要介護認定基準に照らして一次判定を行う。

(3)特別な医療に関する調査事項(12項目)において、1項目以上該当する事項がある者の「医療関連行為」に要する時間については、その時間に一定の調整係数(α)を掛けたものを用いる。

(4)要支援認定基準は、(2)の要介護認定基準で示される時間が一定以下であって、「間接生活介助」および「機能訓練関連行為」に要する時間の和が一定以上の場合とする。

(5)介護認定審査会においては、1次判定結果に、「かかりつけ医」意見書、「記述式の特記事項」の内容を加味して、時間単位で表示される要介護認定基準に照らして審査判定(2次判定)を行う。

(6)2次判定において変更された具体例を、判断資料として例示する。

 

図1.要介護認定の流れ(平成10年度案)

 

 

 平成10年度案を決めるに当たって、日医方式が反映された部分を表1に示す。

 

表1.3方式(日医方式、厚生省平成9年度事業、10年度事業(案))の比較

 

 
------ 要介護度総合分類
(日医方式)
高齢者介護サービス体制整備支援事業  
平成9年度   平成10年度(案)
1.要介護度に勘案されている要素 ●要介護度
●要医療度
●要介護度 ●要介護度
●要医療度
2.要医療度の反映方法 ●要医療度に応じて、要介護度の分類が分かれる ●反映せず ●要医療度が高ければ調整計数によって介護時間が多くなる
3.要介護基準 ●ADL
●IADL
●痴呆
●医学的管理
●時間
  直接生活介助
  問題行動
関連介助
  昨日訓練
関連行為
●時間
  直接生活介助(ADL)
  間接生活介助(IADL)
  問題行動関連介助(痴呆)
  機能訓練関連行為
  医療関連行為
4.要支援基準 ●IADL ●時間
  直接生活介助
  問題行動
関連介助
  機能訓練
関連行為
●時間
  間接生活介助
  機能訓練関連行為

 

図2.要介護認定における一次判定の流れ(平成10年度案)

 

 


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