日医ニュース 第892号(平成10年11月5日)
介護保険制度の概要(5)
人員基準・設備基準 その1 〜介護保険施設〜
「介護保険制度の概要」シリーズの5回目は、介護保険施設における人員配置基準、設備基準について解説する。
1.介護保険施設の種類
介護保険制度における施設サービス提供機関としては、以下の3種類が挙げられている。
表1.介護保険下におけるサービス提供施設
1)介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) 2)介護老人保健施設(老人保健施設) 3)介護療養型医療施設
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2.介護保険施設の指定基準
療養型病床群、介護力強化病院や老人保健施設などが、介護保険施設として指定を受けるためには、介護保険法での人員配置基準や設備基準を満たす必要がある。(療養型病床群を有する診療所の場合の人員配置基準・設備基準案を表3に示す)
介護保険法での指定基準(案)は、その内容の90%以上が現行の医療法や老人保健法、老人福祉法に則ったものとなっている。下表に、療養型病床群、老人保健施設における主な変更点を示す。
表2.療養型病床群、老人保健施設における指定基準の変更点
(介護保険施設に共通の新規基準) 1)介護支援専門員の配置(人員配置基準) 常勤の介護支援専門員を1以上配置すること(100またはその端数を増すごとに1を標準)とするが、他の業務との兼務でも差し支えないものとする。 ただし、経過措置として、平成14年度末までの3年間に限り、看護・介護計画等の作成に関し、経験のある看護婦等を配置しても差し支えない。 |
(療養型病床群を有する病院・診療所における基準変更箇所) A.人員配置基準:看護補助者→介護職員(変更) B.設備基準 ・食堂:運営基準により離床して食事をとるよう努めること(新規) ・浴室:病床転換によるものについては、シャワー等の設備を備えること(新規) |
(介護老人保健施設における基準変更箇所) A.人員配置基準 ・入所者:看護・介護職員=3.6:1(通知において、3:1を満たすよう努めることを規定)(新規) ・相談指導員:入所者と通所者の合計数が100またはその端数を増すごとに1以上 →入所者の数を100で除して得た数以上(変更) ・PTまたはOT:入所者と通所者の合計数を100で除して得た数以上 →入所者の数を100で除して得た数以上(変更) ・栄 養 士:適切な栄養指導を行うために必要な数 →入所定員数100以上の施設にあっては1.併設型は医療機関等との兼務可(変更) B.設備基準 ・機能訓練室:通知において「入社者等の定員1人当たり1u以上」と明示 →入所定員1人当たり1u以上(変更) ・食 堂:通知において「入所定員1人当たり2u以上」と明示 →入所定員1人当たり2u以上(変更) (平成4年9月30日までに開設許可を受けた場合は1u以上) |
表3.療養型病床群を有する診療所における指定基準の概要(案)
A.人員配置基準
医療法での基準 | 介護保険法での指定基準(案) |
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(1)医師:1 | (1)医師:1 |
(2)看護婦および准看護婦 療養型病床群に係る病室について 入院患者:看護職員=6:1 |
(2)看護婦および准看護婦 療養型病床群に係る病室について 入院患者:看護職員=6:1 |
(3)看護補助者 療養型病床群に係る病室について 入院患者:看護補助者=6:1 |
(3)介護職員 療養型病床群に係る病室について 入院患者:介護職員=6:1 |
2、3については当分の間、 入院患者:看護・介護職員=3:1でも可。 (ただし少なくとも1人は看護婦または准看護婦) |
2、3については当分の間、 入院患者:看護・介護職員=3:1でも可。 (ただし少なくとも1人は看護婦または准看護婦) |
− | (4)介護支援専門員: 介護支援専門員を配置することとするが、他の業務との兼務でも差し支えないものとする(非常勤でも可) ○ただし経過措置として、平成14年度末までの3年間に限り、看護・介護計画等の作成に関し経験のある看護婦等を配置しても差し支えない |
(5)事務員その他の従事者 療養型病床群を有する診療所の実状に応じた適当数 |
− |
B.設備基準
医療法での基準 | 介護保険法での指定基準(案) |
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(1)病室の病床数:4床以下 ※病床転換によるものについては5床以上でも可 |
(1)病室の病床数:4床以下 ※病床転換によるものについては5床以上でも可 |
(2)病室面積:1人当たり6.4u以上 ※病床転換によるものについては6.0u以上でも可 |
(2)病室面積:1人当たり6.4u以上 病床転換によるものについては6.0u以上でも可 |
(3)廊下幅:1.8m以上(両側居室の場合は2.7m以上) 病床転換によるものについては1.2m以上(両側居室の場合は1.6m以上) |
(3)廊下幅:1.8m以上(両側居室の場合は2.7m以上) 病床転換によるものについては1.2m以上(両側居室の場合は1.6m以上) |
(4)機能訓練室:機能訓練を行うために十分な広さ 長期にわたる療養を行うにつき必要な器械・器具を備える |
(4)機能訓練室:機能訓練を行うために十分な広さ 長期にわたる療養を行うにつき必要な器械・器具を備える |
(5)食堂:1u以上(患者1人につき) ※病床転換によるものについては、食堂がなくても可 − |
(5)食堂:1u以上(患者1人につき) 病床転換によるものについては、食堂がなくても可 注.運営基準により離床して食事をとるよう努めること等を定める |
(6)談話室:談話を楽しめる広さ(食堂等との共用可) ※病床転換によるものについては、談話室がなくても可 |
(6)談話室:談話を楽しめる広さ(食堂等との共用可) 病床転換によるものについては、談話室がなくても可 |
(7)浴室:身体の不自由な者が入浴するのに適したもの ※病床転換によるものについては、浴室がなくても可 |
(7)浴室:身体の不自由な者が入浴するのに適したもの 病床転換によるものについては、シャワー等の設備を備えること |
(8)給水施設 | − |
(9)暖房施設 | − |
(注1)※のある基準については、平成12年度から認めるものについては完全型の基準と同一の基準が適用となる。
(注2)病床転換によるものについては、当該病棟における基本的な構造(各室の間取り、柱の位置等)の変更を行う場合は完全型の基準が適用される。