日医ニュース 第896号(平成11年1月5日)

「21世紀の社会保障制度を考える議員連盟」臨時総会

「薬剤の参照価格制度反対」を決議

 

 「21世紀の社会保障制度を考える議員連盟」(会長・竹下登元総理)の臨時総会が、昨年12月10日に自由民主党本部の8階ホールで開催された。

 この議員連盟は、自民党のなかで、特に、社会保障制度・医療の問題に関連の深い厚生大臣経験者などの有志議員で厚生されている会である。もともと日医とは密接な関係があり、今回、突然11月16日に厚生省側より提案された、いわゆる薬剤の日本型参照価格制度への対応を協議するために、日医執行部の強い働きかけで臨時総会の開催となった。

 当日は、日医側より全国の都道府県医師会長と役員代表220名、自民党側からは、同議員連盟の衆議院、参議院の各代議士二百余名が出席した。

 定刻の午後4時に開会。冒頭、竹下登会長のあいさつのあと協議に入り、中山太郎会長代理が、「医療を通じて国民と直接かかわりを持つ、医師の先生方に、どのような政治の思いやりを行き届かせていくのかが、本日の臨時総会の目的である」と趣旨説明を行った。

 次に、糸氏英吉日医副会長が補足説明を行い、「いわゆる薬剤参照価格制度が導入されると、今までの日本の良い医療保険制度の根幹が覆り、医療の重要な本質である治療において、薬剤に健康保険が適用されなくなるという事態を招いてしまう。これ以上国民負担を増加させないためにも、先生方のお力をお借りしたい」と要望を行った。

 引き続き、臨時総会に「5項目の決議案」(1、国民皆保険制度の堅持、2、技術料の適正評価、3、給付と負担の検討、4、日本型参照価格制度反対、5、医療機関経営の安定)が上程され、原案どおりに満場一致で採択された。

 これを受けて来賓を代表し、坪井栄孝日医会長がお礼のあいさつを行い、「本日の臨時総会が、国民の医療を預かる日医にとってまことに力強い後ろ盾となり、大変ありがたく思う。今後とも、各地域医師会が先頭に立ち、思いやりのある温かい政治の実現に向け、国民と連帯して活動していくことが必要である。日医としても全面的に応援していくので、議員連盟の諸先生方の実行力をおおいに期待しているとともに、深くお礼を申し上げる」と述べた。

 また、全国都道府県医師会を代表し、佐々木健雄東京都医師会長がお礼の言葉を述べ、その後、出席議員二百余名が紹介され、臨時総会は閉会となった。

 引き続いて、党本部の9階に会場を移し、「日本医師会、都道府県医師会、医療関係団体との懇親会」が開会した。

 自民党を代表して、池田行彦政調会長があいさつに立ち、「国民の健康を守るということは何物にもまして大切であり、国民皆保険制度をしっかり堅持するために今後とも努力をしていく。社会保障の問題は今、深刻であり、少子高齢化は待ったなしで進んでいる。さらに将来を見据えた制度の改革というものは避けて通れない状況だ」と述べた。

 次に、山崎拓前政調会長が、「昨年の健康保険法の改正で、医療費の抑制効果があまりにも強く出すぎ、前任者としての責任を痛感している。早急な改善が必要と思っている」と語った。

 乾杯の音頭を、丹波雄哉議員が行い、あいさつのなかで、「日本の医療、皆保険制度を堅持するために、力を合わせて頑張っていく決意である」と述べた。

 自民党の医療基本問題調査会長である丹波議員が、「いわゆる参照価格制度反対の決議文に賛成した」ということは、非常に大きな意味がある。

 次に森喜朗自民党幹事長が、「日頃から各地域での選挙に際しては、医師会の先生方の全面的なご支援をいただき、心から感謝している。社会保障とりわけ医療保険の問題は、日本の国家にとって最優先の課題であり、自民党としても政権与党としても最大限の努力をする」とあいさつした。

 その後、各ブロックごとに、国会議員と、各地域の医師会長らとの間で忌憚のない話し合いが活発に行われた。

 臨時総会は、政府与党である自民党の二百余名の国会議員が、「いわゆる薬剤の日本型参照価格制度に反対する」という大きな成果をあげて当初の目的を達成し、盛会裏のうちに閉会した。

 


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