日医ニュース 第900号(平成11年3月5日)

全国訪問看護事業者大会
介護保険制度施行に向けて活発に協議


 全国訪問看護事業協会主催,日医・日本看護協会・厚生省後援の全国訪問看護事業者大会が,2月18日,日医会館大講堂で開催された.
 西島英利常任理事の司会で開幕.来賓あいさつで坪井栄孝会長は,「介護保険制度は,サービスを提供する側の論理のみで準備をすればするほど,受ける側に不便な制度ができてしまう.それをいちばん実感するのが,現場の人たちである.介護を提供する立場から離れて,高齢者側に立って介護を受けるときに何を望むかを考える必要がある」と述べた.
 その後,青柳俊常任理事による特別講演「介護保険制度における医療とくに訪問看護」が行われ,訪問看護事業の抱えるさまざまな課題について説明がなされ,調整役としての訪問看護婦と訪問看護ステーションの役割の重要性に言及した.
 次に,堤修三厚生省大臣官房審議官の基調講演「介護保険制度実施に向けての現状」が行われ,厚生省の発行した介護保険に関するパンフレットの内容の紹介と,介護保険と医療保険の区分けの説明がなされた.
 引き続き,「介護保険制度における在宅ケアと訪問看護―介護保険でどうなる訪問看護ステーション―」をメインテーマにシンポジウムが行われた.
 5人のシンポジストが,それぞれの立場(1)かかりつけ医(合馬紘福岡県医師会理事)(2)訪問看護ステーション管理者(宮崎和加子健和会訪問看護ステーション統括所長)(3)市町村行政(小宮勇横浜市福祉局健康長寿社会部保健担当課長)(4)介護保険を推進する市民(池田省三(財)地方自治総合研究所政策部長)(5)担当行政(西山正徳厚生省老人保健福祉局老人保健課長)で,介護保険制度施行に向けての取り組みを紹介した.
 (1)では,北九州市医師会の取り組みを紹介し,訪問看護婦が中心となって在宅ケアの質の確保を目指してほしいと訴えた.(2)では,介護保険導入により現場がどのように変わり,それにどう取り組むべきか具体的な説明がなされた.(3)では,横浜市の対応が紹介され,サービス量の確保が重要な課題となっているとした.(4)では,介護保険のサービスの質とコストが連動していない問題点が指摘された.(5)では,在宅ケアの中心となる訪問看護ステーションの整備が急ピッチで進んでいることが紹介され,今,訪問看護事業の質が問われていると述べた.
 最後に質疑応答が行われ,会場からは,シンポジストへの質問,要望が数多く寄せられ,盛会裏に終了した.


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