日医ニュース 第902号(平成11年4月5日)

介護保険制度の概要10


介護保険法関連の政省令について

 「介護保険制度の概要」シリーズの10回目は,平成11年度末を目途に公布予定の
「介護保険法施行規則」およびその他省令・ 告示の主な項目とその具体的内容について解説する.

1.介護保険法施行規則および省令・告示の内容

 平成12年の制度施行を控え,昨年12月下旬の政令公布に続いて,平成11年3月末を目途として,「介護保険法施行規則」「事業者・施設の人員,設備および運営に関する基準等に関する省令」「福祉用具の範囲等に関する告示」 などの公布が行われる予定となっている.

表1.施行規則,省令,告示の主な項目
  主な項目
介護保険法施行規則 1.定義 等
  (1) 要介護状態等の定義
  (2) 要支援・要介護の状態区分(審議中)
  (3) 居宅サービスの担当者
  (4) 治療の必要の程度
  (5) 通所リハビリ等を行う施設の種類  ─【2】
  (6) サービス計画の内容
2.要介護認定の有効期間
3.給付対象外の日常生活費の範囲  ─【3】
  (1) 居宅介護サービス費の日常生活費の範囲
  (2) 施設介護サービス費の日常生活費の範囲
4.保険給付の代理受領の要件
5.居宅サービス区分および区分支給限度基準額
  (1) 区分支給限度額の管理期間
  (2) 種類支給限度額が設定される居宅サービス
6.福祉用具購入費・住宅改修費の支給要件等
7.利用者負担額の減免事由
8.保険料滞納者の給付制限等に関する事項
9.居宅サービスに係るみなし指定に関する事項  ─【1】
  (1) 病院・診療所に係るみなし指定サービス
  (2) 老人保健施設に係るみなし指定サービス
10.保険料算定に関する基準所得金額
11.保険料の特別徴収に関する事項
12.適用除外事由(施設)
  (1) 重症心身障害児施設
  (2) ハンセン病療養所 等
13.その他
14.施行期日
人員,設備および運営に関する基準等に関する省令 1.指定居宅サービス事業者に関する基準
2.指定居宅介護支援事業者に関する基準
3.指定介護老人福祉施設に関する基準
4.介護老人保健施設に関する基準
5.指定介護療養型医療施設に関する基準
6.基準該当居宅サービス等に関する基準 (審議中)
介護保険の医療保険者の納付金の算定等に関する省令 1.財政安定化基金への拠出率
2.概算介護給付費納付金の算定方法
3.確定介護給付費納付金の算定方法
4.支払基金に対する医療保険者の報告事項
5.その他
6.施行期日
厚生大臣告示 1.福祉用具貸与・購入費の対象用具の範囲
2.住宅改修費の対象となる住宅改修の範囲
3.離島等の範囲について
4.要支援・要介護認定基準 (審議中)
5.介護保険事業計画の基本方針 (審議中)

2.主な項目の具体的説明

 前掲した「介護保険法施行規則」のうち,いくつかの項目を取り上げ,その具体的な内容を説明する.

(1)居宅サービスに係るみなし指定
 制度施行時点において,以下の施設は,下表のように医療系居宅サービス事業者として,みなし指定を受ける.

居宅
サービス
居宅療養
管理指導
訪問看護 訪問
リハビリ
短期入所
療養介護
通所
リハビリ
施 設
介護療養型
医療施設(療養型
病床群
等)
その他 病院・診療所
介護老人保健施設 × × ×

なお,※部分については,人員基準等を満たし,都道府県知事の指定を受ければ,
サービスを行うことができる.

(2)通所リハビリ・短期入所療養介護を行う施設の種類
 通所リハビリテーションは,病院・診療所および介護老人保健施設において行うことができる.
 短期入所療養介護は,介護療養型医療施設,医療保険適用の療養型病床群を有する病院・診療所および介護老人保健施設において行うことができる.

(3)利用者の負担する日常生活費の範囲
 日常生活費とは通常の日常生活に要する費用として保険給付の範囲外とされ,利用者負担(保険給付の1割)とは別に,利用者が全額負担する費用をいう (図1参照).サービスの種類ごとの日常生活費の範囲は以下の通りである.

  利用者の全額負担となる日常生活費の範囲
食材料費 理美容代 おむつ代※ その他
通所リハビリ
短期入所
療養介護
×
施設サービス × ×

○印は,日常生活費として利用者の負担となる.
なお,おむつ代は、通所系サービスにおいては,日常生活費として利用者の負担となり,
短期入所および施設サービスにおいては,保険給付のなかに含まれる予定である.

図1.療養型病床群の日常生活費と保険給付の関係 (平成10年価格)


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