日医ニュース 第907号(平成11年6月20日)

日医
インフルエンザ対策を要望

 日医は,5月25日,坪井栄孝会長名で宮下創平厚生大臣に対して,インフルエンザについての要望書を提出した.これは,一昨年,昨年と引き続いてインフルエンザ様疾患が流行し,多数の死亡者が出たことを受けたもので,インフルエンザの予防接種を新たに高齢者等も対象に含めて予防接種法に位置付けること,ワクチンの確保等,製造・供給体制を整備することなど,今冬のインフルエンザ対策に万全を期すように求めている.
 なお,要望書は,小池麒一郎常任理事が厚生省を訪れ,伊藤雅治保健医療局長に手渡された.

要 望 書

 一昨年,昨年とインフルエンザ様疾患が流行し,多くの尊い生命が失われたことは記憶に新しいところであります.
 平成9〜10年のシーズンには,約127万人がり患し,死亡統計によれば平成10年に521人が死亡しています.死亡診断書の原死因は,肺炎等と記載されることが多いため,実際のインフルエンザ様疾患による死亡者は,死亡統計の数を大幅に上回ると考えられています.
 このような事態を招来した背景には,平成6年の法改正により,インフルエンザの予防接種を予防接種法の対象外としたことによる国民のインフルエンザに対する意識の希薄化,ワクチン製造量の減少,接種率の低下があると思います.
 日本医師会は,国民の生命,健康を守る立場から,厚生省が左記の点を中心として今冬のインフルエンザ対策に万全を期すよう強く要望いたします.

  1. インフルエンザの予防接種を新たに高齢者等も対象に含め,予防接種法に位置付けること.
     具体的には,予防接種を受けるかどうかは国民1人1人が判断するものであるが,国の推奨による接種費用は公費負担(国,地方公共団体)とし,実施主体は市町村長とすること.なお,健康被害が発生した場合には,国が責任を負うこと.
  2. インフルエンザワクチンの確保等,製造・供給体制を整備すること.
  3. インフルエンザ対策に必要な財源を確保すること.
  4. インフルエンザについて,国民,医療関係者に正確な情報を迅速に提供すること.

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