日医ニュース 第913号(平成11年9月20日)
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日医では,十月から始まる介護保険の要介護認定に先がけ,コンピューター処理による二次判定の問題点を指摘.その解決に向けての日医案を提示し,全国の医師会に通知した. |
厚生省の一次判定ロジックは,多くの問題点をかかえている.したがって,一次判定の推定精度が向上するまで,当面,状態像に基づく二次判定を重視した要介護認定の仕組みを構築する必要がある.
そこで,認定審査業務の適正かつ効率的運営を支援すべく,具体的な二次判定方法を以下に提案する.
要介護認定における課題 |
(二)二次判定における課題
(1)要介護度の認定審査に対する具体的方法の提示がない.
厚生省は,各要介護度ごとの十例の状態像例,寝たきり度・痴呆度から要介護度に換算する換算表,中間評価項目,「主治医意見書」や「訪問調査」における特記事項などから総合的に判断して,審査判定を行うという抽象的な方法しか提示していない.ある程度の具体的指針が必要である.
(2)審査会委員の負荷が大きい.
一次判定結果をすべて精査することは,各審査委員の負荷を考えると困難.一次判定結果のスクリーニング方法が必要である.
(3)医療的な視点から見たケアの必要性の反映方法が不統一.
一次判定は,あくまでも福祉サイドからみた「介護」の必要性を評価したもの.医療的視点から見たケアの必要性の反映は,主治医意見書や訪問調査の特記事項が重要.二次判定に参考となる意見の記載とその評価方法の確立が必要である.
今回提案の二次判定の基本的な考え方および方法 |
主治医意見書の特記事項に関しては,医療と介護を総合的に判断できる立場から,医療の視点からみた申請者の各種リスク(ケアや経過観察の必要性など)や手間のかかり具合など,審査に有用な情報が記載される必要がある.そのための支援策として,基本的記載事例の作成を検討する.
今回,現在提案されている,厚生省の要介護認定方法の問題点・課題を解決するため,具体的な二次判定方法を提案した.
今後,データの集積,各現場での認定審査状況等のモニタリングを行いながら,より効率的かつ有効な二次判定方法を開発していく予定である.