日医ニュース 第913号(平成11年9月20日)

視 点

勤務医会費の一視点

 日本医師会勤務医委員会および都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会では,勤務医は異動が多いという現状を踏まえ,勤務医会員の医師会費の統一化を図ったほうが,勤務医の入会促進になるという意見がこれまで数多く出されている.これは,異動のたびに入会金を払ったり,会費が大きく変わったりすることなどが,勤務医が医師会に入会しない理由の一つと考えられているからである.
 日医の理念の一つに,「国民が安心して医療を受けられる環境づくり」がある.これを推進していくためには,より多くの医師に入会してもらい,この理念を理解してもらうことが必要となる.
 現在,日医は,情報開示,介護保険等に積極的に取り組んでいるが,いつも問題になるのが,未入会勤務医への働きかけをどうするかである.残念ながら,医師会費の問題が壁になり,入会促進が進まず,今日に至っているのが現状と聞いている.
 都道府県医師会,郡市区医師会は,それぞれ独立した社団法人である.各医師会によって,会員数,事業規模,事業内容等により財政状況が異なっているので,医師会費の統一化はむずかしい.そこで,数カ所の都道府県医師会・郡市区医師会の決算書を参考にして,日医総研に勤務医の医師会費の平準化を行うとすれば,どのような方法があるかを検討させた.
 地域医師会の決算書は,勘定科目,書式等は必ずしも統一化されているわけではない.しかし,その大枠を観察すると,支出は事務費と事業費に大別される.事務費は執行部と事務局の維持に係る経費,事業費は医師会活動の充実を図るための経費といえる.事務費用のうち,会の運営上最小限必要な費用,すなわち,「会議費」「事務費」「ニュース発行費」(雑誌は除く)を基本費用とする.この費用は,開業医,勤務医にかかわらず平等に負担すべきであり,これを会員数で割ったものを基本会費とする.
 次に,医師会の収入面を見てみると,会費収入以外にも,補助金,委託料収入,雑収入等の種々の収入項目がある.会費以外の収入のうち,「基本費用の財源」となり得る,すなわち,会議費や事務費およびニュース発行費に充当することが可能な収入をピックアップし,「その他財源」として集計する.さらに,会費+その他財源を分母とし,会費を分子としたものを会費依存率とする.
 そして,基本会費×会費依存率を実質基本会費とする.これをもとに勤務医の会費を考えていけば,勤務医の医師会費の平準化が可能になるのではないかと思われる.


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