日医ニュース 第917号(平成11年11月20日)

 第52回日本医師会設立記念医学大会
地域医療功労者を顕彰

 第52回日本医師会設立記念医学大会が,11月1日午後,日医会館大講堂で開催された.来賓として,丹羽雄哉厚生大臣の祝辞が披露され,その後,恒例の日本医師会最高優功賞,日本医師会優功賞,日本医師会医学賞,日本医師会医学研究助成費などの授与,長寿会員慶祝者紹介が行われた.表彰式終了後に,医学賞を受賞した三氏による記念講演が行われた.

 石川高明副会長の司会のもとに,第五十二回日本医師会設立記念医学大会が開幕.冒頭,あいさつに立った坪井栄孝会長は,日医の歴史を顧みて,今後の日本の国民の医療,保健,福祉について,責任を持って行動することを強調し,さらに,このたびの受賞者の功績を讃え,次のように述べた.
 「日医は,国民の健康と福祉の向上を目指して国民医療を推進し,設立趣旨並びに目的に沿って会務の遂行に務めているが,設立以来の会員諸先輩が長年にわたって築いてこられた本会の伝統によって,今日の発展をみたことはいうまでもないところである.
 本日は,長年にわたり,地域医療のためにご尽力くださった方々,また,医学の発展に功績のあった方々のご苦労に対し,ささやかではあるが顕彰をもって報いたい」
 次いで,丹羽厚生大臣から祝辞(羽毛田信吾事務次官代読)として,はじめに,坪井会長の世界医師会次期会長就任へのお祝いのことばがあり,つづいて,「今日までの成果を継承し,発展させるとともに,さらに時代の先を見据え,これまでにない創造的な取り組みを行うべきときが来ている.医療制度の抜本改革,来年四月からの介護保険制度の円滑な実施,年金制度の見直し,少子化対策の推進,社会福祉基礎構造改革などを進め,効率的で安定した社会保障制度を再構築できるよう,今後とも日医のご理解とご支援をいただきながら,この難局に取り組んでいきたいと考えている」と日医への協力を要請した.
 表彰式に移り,日本医師会最高優功賞として,「在任十年都道府県医師会長」三名,「在任十五年日本医師会委員会委員」十名,「医学,医術の研究により医学,医療の発展又は社会福祉の向上に貢献し,特に功績顕著なる功労者」六団体および個人七名,「日本医師会会長特別表彰者」個人一名および一団体が表彰された.
 つづいて,日本医師会優功賞として,「在任十年日本医師会代議員」二十七名,「在任十年日本医師会委員会委員」二十八名の表彰が行われた.
 日本医師会医学賞は,各専門分野からの推薦を受け,基礎部門から笹月健彦九州大学教授,臨床部門から福山幸夫東京女子医大名誉教授,小知彦北海道大学教授に贈呈された.また,日本医師会医学研究助成費は,基礎部門では,杉山俊博秋田大学教授など三名,社会部門では,大島徹金沢大学教授,臨床部門では,小澤敬也自治医大教授など十一名に贈呈された.
 長寿会員慶祝では,白寿会員は岡部英一会員(宮城)など十七名,米寿会員は平石啓太郎会員(北海道)など四百二十四名が紹介され,銀杯が贈呈されたと報告があった.なお,昨年の白寿会員は六名,米寿会員は四百三十一名であった.
 最後に,受賞者を代表して,町田隆夫氏(高知)から,丁重な謝辞が述べられた.
 暫時休憩のあと,小泉明副会長の司会により,日本医師会医学賞受賞者による記念講演が行われた.座長は森亘日本医学会会長が務め,それぞれの演者が紹介された.
 笹月健彦教授は「MHCによる免疫応答,免疫システム枠組み,および免疫疾患の制御機構に関する研究」,福山幸夫名誉教授は「福山型先天性筋ジストロフィー・臨床病型の確立から遺伝子クローニングまで」,小知彦教授は「尿道下裂に対する形成術式の開発と確立」と題して,これまでの研究成果を発表した.


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