日医ニュース 第918号(平成11年12月5日)

日医
「疑義照会」報道について日薬に抗議


 日医は,朝日新聞十一月七日付朝刊掲載の記事「院外処方2.2%に疑義照会日本薬剤師会初の全国調査用量などに記載不備」について,疑義照会があたかも医師の処方の誤りであるかのような誤解を与えるものであるとし,調査結果を公表した日薬に対して抗議を申し入れた.
 記事の内容は,一カ月間に交付された処方せんの二・二%で疑義照会があり,そのうち三分の二は,照会後に医師が処方せんの内容を変更したというものである.
 早速,日医では,九日,菅谷忍常任理事が定例記者会見に臨み,疑義照会は薬剤を安全に投与するために必要なことではあるとしながらも,その報道の仕方について,「医師と患者の信頼関係に問題を残す懸念がある.疑義照会を医師の処方の誤りだとする誤解を招きかねない」と不快感を表わした.さらに,十一日,坪井栄孝会長名をもって,「医療保険改革に向かって関係者が一丸となって努力しなければならない時期に,このような事態を引き起こしたことは遺憾の極みであり,強く抗議する」という内容の文書を日薬に送付,改めて姿勢を質した.
これに対して,日薬からは,「意図しない形で報道されたことはまことに心外である」とし,朝日新聞に抗議を申し入れたことを明らかにした.また,この調査はあくまでも分業の機能を検証するためのものであることを強調したうえで,資料管理の不手際を認めた.
 なお,日医総研では,今回の日薬の「平成十年度『疑義照会等状況調査』の分析と評価」を改めて分析し,次のような結論を得た.
 「安全性上の疑義がある一万三百六十一件のうち,処方内容が変更になったものは,八千二百七十九件であり,処方せん全体の○・二一%,処方せん千枚のうち二枚である.危険度が高いもののうち,あたかも,処方せん百枚のうち二枚に危険があるような解釈は間違いである」.


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