日医ニュース 第935号(平成12年8月20日)

日医のネパール医療協力
ネパール国王より勲章を授与


 日医の医療協力が,ネパールの保健衛生レベルの向上に多大な貢献をしたとして,ネパール国王より坪井栄孝会長に勲章が授与され,その伝達式が,八月二日,ネパール大使公邸で行われた.この勲章は,「プラシッダ・プラバル・ゴルカダクシンバフ勲章」と称され,同国が外国人に授与する勲章としては最高位の勲章(日本の勲二等に相当)である.
 一九九二年,ネパール政府からの支援要請に対して,日医はJICA(国際協力事業団)と協力し,カトマンズ近郊のコパシ地区を活動拠点とする「学校・地域保健プロジェクト」を開始した.同地区に保健活動の中核施設である「プライマリー・ヘルスケア・センター」を建設し,ネパール人スタッフを研修してきた.住民参加型のヘルスプロモーション,疾病対策,識字教育,人材育成などといった総合的な活動を通して,罹患率の減少や識字率の向上といった着実な実績を積み重ねている.
 また,当プロジェクトは,途上国における地域保健の向上のための典型的なシステムのモデル形成にも大きく寄与している.今回の受章はこうした活動実績が評価されたものである.
 八月九日に開かれた記者会見の席上,坪井会長は,今回の叙勲について,次のようにコメントした.
 「このたびの叙勲は,日医のネパールに対する援助事業に対するもので,たいへん名誉あることと思っている.たまたま,私の名前でいただいているが,この事業は,正式な予算措置に基づいているので,日医そのものが受章したものといえる.
 平成四年から日医が取り組んでいる事業は,母子保健,特に乳幼児死亡率の低下であるが,かなりいい成果がでている.また,非常に顕著なのが,識字率の向上である.ネパールの識字率は,一九九五年で,男性四一%,女性一四%であるが,コパシを中心としてわれわれがお手伝いしている地域では,女性の識字率が五○%に達している.今後とも,会員の理解を得ながら,支援事業を継続していきたいと考えている」


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