日医ニュース 第935号(平成12年8月20日)
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現在,わが国では世界に類を見ないスピードで少子高齢社会が進行しており,ゆるぎない社会保障制度の構築が急がれるとともに,社会を支える基盤である若者に対する期待はまことに大きいものがある.
しかし,近年,児童生徒を取り巻く環境は大きく変化し,生活習慣病の若年化といった問題に加え,不登校,学級崩壊など,心の問題が深刻化し,大きな社会問題を惹起している.児童生徒の健康な生活を築くためには,学校のみならず家庭,地域を含めた生活全体に着目し,心とからだの調和がとれた総合的な健康づくりを進めることが必要である.したがって,児童生徒の健康を保持増進するための学校医活動は,二十一世紀に向け,さらに整備,強化されなければならない.
学校医の制度は,明治三十一年の勅令を最初とし,以来,多くの変遷を経て今日に至っているが,その間,学校保健活動の中心的役割を果たしてきたのは学校医である.
しかしながら,今日の社会情勢に複雑にからむ,教育現場の諸問題に対応するためには,各分野との総合的連携体制の元に,学校保健活動のなかで特に健康教育が重視されるべきである.
日医は平成十一年七月,「医療構造改革構想の具体化に向けて(中間報告)」を提示しており,そのなかで,健康教育の重要性に鑑み,学校保健については学校保健管理にとどまらず,学校保健教育についても地域医療の一環として捉えており,生涯保健事業のなかで学校保健を担う学校医の積極的な取り組みを期待している.
このたび,坪井栄孝会長より,日医学校保健委員会に「学校医活動における健康教育のあり方と推進のための方策について」が諮問された.それゆえ,日医は新たな世紀の学校保健のあり方を求めて,既存の各学校医会および各医師会学校保健委員会との連携を密にし,日医主導の元で,学校医活動の活性化を図り,学校医の資質向上についても具体的方策を求めていく必要がある.
平成十二年三月に当委員会より示された答申には,学校保健の中心として,社会的認知に耐えうる質の高い学校医の必要性が謳われている.今後,日医は各医師会に対して学校医初任者研修のカリキュラムについてのガイドラインを提示し,学校医養成を積極的に推し進める責務がある.そして,日医認定学校医制度の導入を視野に位置づけ,環境整備を図っていく所存である.
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