日医ニュース 第944号(平成13年1月5日)
混乱を防ぐために定額制を推奨 |
「健康保険法等の一部を改正する法律案」および「医療法等の一部を改正する法律案」が,昨年11月30日に可決成立したのを受けて,日医は,12月14日に都道府県医師会社会保険担当理事連絡協議会を開催し,これらの一部改正への対応について,協議を行った. |
冒頭,坪井栄孝会長があいさつし,「健保法および医療法の一部改正が決まったが,特に改正健保法は来年一月一日施行なので,年末の慌ただしい時期ではあるが,会員への伝達方をよろしくお願いする.今回の法改正では,薬剤二重負担の解消という従来からの日医の主張が,老人だけは解消されたことで,半歩前進であると評価している.むしろ,医療法については,今後の医師会活動の哲学にかかわる重要事項であると認識しており,さらなる改善を目指し,考えていかねばならない」と述べた.
次いで,石川高明副会長が,(1)医療保険制度の抜本改革(2)薬価制度の改革(3)薬剤二重負担の解消(4)平成十二年度診療報酬改定(5)医療提供体制の問題―などに触れながら,今回の改正の経緯について説明を行った.
引き続いて,健保法等の一部改正,被保険者証の個人カード化などについて,菅谷忍常任理事が,次のような説明を行った.
「今回の改正に至る議論のなかで,日医は,(1)薬剤の二重負担を廃止する(2)定率制を認めたとしても,その上限を設定する(3)定額制を診療所に残すこと―を強く要望し,若人に係る薬剤の一部負担(平成十四年度までに廃止予定)を除いて,その要望は実現化された.
定額制を選択すると,今までと変わる点は,(1)定額制を選択したことを届け出なければならない(2)一日の負担額が五百三十円から八百円となる―という二点だけであり,それ以外はこれまでどおりであるということを理解いただきたい.
また,届出に関しても,年内に行ってもらうのが望ましいが,医師会等で取りまとめて提出することも可能であり,都道府県医師会と都道府県と相談して,最もよい方法で柔軟に対応してもらいたい.
老人一部負担の選択については,耳鼻科,眼科,皮膚科など診療科によっては定率制を選択した方がいいという声もあるが,患者さんの混乱を防ぐためにも診療所については定額制で対応してほしい」(下記参照)
さらに,医療法等の一部改正については,櫻井秀也常任理事から説明があった.「今回の法改正の要点は,(1)入院医療を提供する体制の整備に関する事項(2)医療における情報の提供の推進に関する事項(3)医師および歯科医師の臨床研修の必修化に関する事項―である.
(1)については,これまでの『その他病床』を,療養病床と一般病床に分けることとした.一般病床の人員は,看護婦および准看護婦を入院患者三人に対して一人とした(へき地,離島等の病院または二百床未満の小規模病院については,五年間の経過措置あり).施設は,新築および全面改築の病室の病床面積を患者一人あたり六・四平方メートル以上,廊下幅を一・八メートル以上とした.
(2)については,『診療録その他の診療に関する諸記録に係る情報を提供することができる旨』など広告可能な事項が新たに付け加えられた.
(3)については,医師および歯科医師の臨床研修の必須化が明確に規定された.
なお,現在,医療審議会において審議中の部分も多く,決まり次第,改めて連絡したい」
説明終了後,出席者との活発な質疑応答が行われ,会は終了となった.
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I .患者負担に関する事項(実施時期:平成13年1月1日)
(1)外来 1)診療所 2)病院 (2)入院(診療所・病院共通) 入院時一部負担金 定率1割負担(同一医療機関での上限月額37200円) II .入院時食事療養費に係る標準負担額の見直し(実施時期:平成13年1月1日) 1日につき 780円 |