日医ニュース 第945号(平成13年1月20日)

勤務医のページ

平成12年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会
各県における勤務医状況を報告


 平成十二年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会が,昨年十一月十日,日医会館小講堂で開催された.
 まず,石川高明副会長から,「十月二十八日,鳥取市での全国医師会勤務医部会連絡協議会では,勤務医の役割について貴重な提言を多数いただいた.私どもも,これを参考にして会務を遂行していきたい.厳しい医療情勢のなかで,医師会員は,勤務医,開業医ともに一致団結する必要がある.二十一世紀が見透かせる政策が展開できるよう,本協議会でも先生方のご意見をいただきたい」とあいさつがあり,つづいて協議に入った.

勤務医会員数漸増,十四の道府県で五〇%を超す

 星北斗常任理事が,勤務医会員数,勤務医部会設立状況について報告した.平成十二年八月一日現在の日医会員は十五万三千三百十三人,うち勤務医七万二千百七十四人で全会員の四七・一%を占める.勤務医の割合は,鹿児島県の六三・一%を最高に,十四の道府県で五〇%を超えた.部会設立は二十八道府県に達し,大学医師会も五十七大学で設置されている.
 一方,勤務医の占める日医代議員(七・三%),都道府県医師会役員(一五・四%)および代議員(一四・八%)など,役員での起用は依然として低率であった.
 つづいて,平成十二年度全国医師会勤務医部会連絡協議会について,植木壽一鳥取県医師会常任理事より報告と謝辞があった.
 次いで,次期担当県の秦喜八郎宮崎県医師会長からあいさつと協議会の内容説明があった.

勤務医委員会報告

 池田俊彦日医勤務医委員会委員長が委員会報告を行い,委員会の役割は,(1)会長諮問事項の討議と答申書の作成(2)日医ニュース「勤務医のページ」の企画・編集(3)全国医師会勤務医部会連絡協議会への意見具申(4)都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会の企画・立案(5)勤務医アンケート調査(6)勤務医座談会の実施(7)その他の問題討議─であるが,今回の会長諮問は「二十一世紀における勤務医のあり方」についてである.初回は,会長諮問に対して各委員の自由発言にとどめた.
勤務医と医師会の関係
対 峙 参 加 連 帯
要 求 協 力 共 生
 論点は,会長諮問の意味するもの,二十一世紀の医療環境,医療情報の共有化,医療における競争原理,病院および医師の評価,医局制度と勤務医の市場,勤務医の定義,医師数問題など意見百出したが,従来の勤務医の問題から医療・医師会問題に推移してきた感がある.医療における競争原理には,医療機関や医師の質をどういうメジャーで測るか,患者の満足度,医師の技術力,病院への貢献度をいかに評価するかが問題となる.
 勤務医も問題意識をもって,医師会の理念・目標に沿って対峙・要求から参加・協力,さらに連帯・共生へとシフトする必要があろう(図).これを支援していくのが,勤務医委員会,勤務医部会の役割であると強調した.
 次に,栃木県,神奈川県,高知県,熊本県からそれぞれ勤務医の活動報告があった.

医師会に属さない勤務医会設立について(栃木県)

 平成十年,県内の会員にアンケート調査を行い,八百三十三名の回答者のうち八〇%以上が勤務医会結成に賛意を示した.容易に医師会活動に参加してもらうために,医師会に属さない形で,本年一月に栃木県勤務医会を設立した.活動状況は,医政や医療制度改革の情報伝達と講演会,研究会開催に重点を置いている.

勤務医部会活動状況(神奈川県)

 平成十年で勤務医の割合は三五%であり,漸増する勤務医の医療における役割分担を明確にし,開業医との連携を深めるため,平成十一年二月,神奈川県勤務医部会を設立した.総会,研修会,勤務医部会名簿の発行など,本格的に活動を開始した.現在,会員の意識調査を集計中である.

大学病院との病診連携について(高知県)

 勤務医の比率は六二・六%と高いが,勤務医委員会は設置していない.今回,全国でもはじめてのケースとして,平成十二年七月より高知医科大学附属病院の開放病床の運営を行うこととなった.登録医と大学の勤務医が共同診療することは生涯教育,グループ診療の点からも画期的なシステムと考えられる.

勤務医部会活動状況(熊本県)

 平成二年,勤務医部会を設立した.活動内容は,勤務医部会総会,熊本大学医学部新卒研修医説明会,「勤務医の皆様へ」パンフレット作成・配布,熊本県医師会勤務医名簿作成,日医ニュース配布など.

その他

 大阪府医師会より,勤務医比率が増している今日,会員数に見合った義務(役割)を果たす必要があるのではないかと提言があった.


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