日医ニュース 第971号(平成14年2月20日)

勤務医のページ

平成13年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会
医療改革は立場を超え医師の団結を

 平成十三年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会が,昨年十一月十四日,日医会館小講堂で開催された.
 冒頭,坪井栄孝会長はあいさつのなかで,医療改革を論ずるとき,「医師はお互いの立場を超越した考え方で,何をすべきかということを真剣に対処すべき重要な時期にある」と述べ,「変えてはならないところは堅持し,変えなければならないところは英断をもって変革すべきである」とし,全医師の一致団結を要望した.

勤務医割合四七・二%,十六医師会で五〇%を超す

 星北斗日医常任理事(勤務医担当)が,勤務医の入会・勤務医部会設立状況などについて報告した.
 これによると,八月一日現在の日医会員は十五万五千六百六十二人(昨年比一・五%増)で,うち勤務医は七万三千五百二十四人(昨年比一・九%増)で,全会員の四七・二%を占め,昨年より〇・一%増であった.(表)
 日医会員中,勤務医が半数を超えていたのは,鹿児島(六二・七%)をはじめ,秋田,新潟,沖縄など十六医師会であった.
 勤務医部会設立状況は,山梨県医師会が廃止したため,二十七医師会に減じた.
 大学医師会は,本年度新たに群馬大学に設立され,八十校中三十四大学となった.

低い勤務医の役員登用日医代議員の勤務医割合六・四%

 勤務医の役員登用は,日医代議員三百二十八名中,勤務医は二十一名(六・四%)で伸び悩み状態であり,都道府県医師会の役員(一四・七%)および代議員(一五・二%)も依然として低率であった.
 本年度全国医師会勤務医部会連絡協議会について,担当した濱砂重仁宮崎県医師会常任理事からの報告と謝辞があり,次いで,来年度担当の上田尚紀山口県医師会常任理事から開催要項について説明があった.

会長諮問への答申最終段階に勤務医委員会

 池田俊彦日医勤務医委員会委員長は,同委員会が担当している日医ニュース「勤務医のページ」の企画について,報告した.
 また,同委員会の最も大きな役割である坪井会長諮問「二十一世紀における勤務医のあり方」に対する協議経過について報告し,「答申が日医の施策に反映されるよう,現在まとめの最終段階にある」と述べ,さらに医師会の目標は「求道存異」つまり「お互いの立場の違いを理解しつつ,同じ道を求めることである」との委員長見解を示した.
 都道府県医師会からの勤務医部会活動報告では,岡山県医師会(大森文太郎同県医理事),山形県医師会(斉藤幹郎同県医常任理事),三重県医師会(宮西永樹同県医理事),和歌山県医師会(田村公之同県医理事)からそれぞれ勤務医の現況や活動報告があった.

勤務医会費公費負担打ち切り懸念される組織率低下

 討論では,高知県に端を発し,全国に波及した国公立病院勤務医の医師会費の公費負担打ち切りが話題の焦点となった.
 勤務医の会費自己負担による脱会を避けるため,「病院会費として官公立病院負担の制度化ができないか」(大西雄太郎長野県医師会常務理事),「勤務医の団体会費を検討中であるが,定款改正が必要である」(竹内義員香川県医師会副会長),「会費が税制上,控除対象にならないか」(田村和歌山県医師会理事)など,公費負担打ち切りに関して日医の見解を求める意見が出された.
 会費負担増により,医師会組織率低下を危惧した各医師会では,勤務医会費の見直し,入会金の廃止など地区医師会に調整を呼びかけるとともに,「医師会活動の公益性を維持すべく,県当局とも交渉している」(勝又一夫愛知県医師会理事)など勤務医の脱会を避ける対応策が論じられた.

組織率より実質勤務医が重要

 星常任理事は,これを契機に,勤務医会費の見直しに取り組んでいるのが八県に留まっている現状を指摘し,「医師会活動を理解し,ともに活動する会員の参加がどれだけ得られるかが問題である」と述べ,「組織率そのものに一喜一憂すべきでない」との見解を示した.
 これに対し,いち早く勤務医会費を半額にした岩手県医師会の樋口紘常任理事から,「組織率低下は避けるべきで,日医の会費値下げも考慮すべき」との意見も出された.
 谷口繁日医勤務医委員会副委員長は,勤務医会費の適正額の算定法(日医総研・一九九九年)について改めて解説し,「会費見直しの参考にしてほしい」と述べた.
 勤務医会費の公費負担打ち切りによる波紋は,勤務医会費の見直しとともに,法人格の異なる,日医,都道府県,郡市区からなる三層構造の医師会そのもののあり方に論議が及ぶ可能性もある.
 また,杉田博大阪府医師会理事は,医療改革にあたり,日医の施策に勤務医の意見が反映されるよう強く要望した.
 このほか,福岡,山口,愛媛,島根県医師会から出された臨床研修必修化に向けての意見に対し,星常任理事は,医師会共同利用施設での研修医の受け入れの方針を示し,モデル事業を行う考えを明らかにした.


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