日医ニュース 第974号(平成14年4月5日)
第106回日本医師会定例代議員会 坪井会長、4選果たす 生涯教育、広報・医政活動を3本柱に 初の女性役員誕生! |
第百六回日本医師会定例代議員会が四月一,二の両日,日医会館大講堂で開催された.第一日目は役員選挙が行われ,坪井栄孝現会長が西祥太郎氏を破り,四選を果たした.会長選挙が行われたのは,六年ぶりである.さらに,今回の選挙によって,日医史上初の女性役員が二名誕生した. |
役員選挙 |
四月一日午前十時,熊谷冨士雄事務局長の司会で開会.
まず,宮静治氏(和歌山県)を仮議長に選出.氏名点呼,定数三百三十八人のうち三百三十七人の出席を確認(欠席一人).議事録署名人に山崎寛一郎(埼玉県),村山博良(高知県)の両氏が指名され,議長選挙(定数一人)に入る.立候補者は二人であったため,投票を行った.
仮議長から選挙立会人に石井正三(福島県),橋本京三(京都府),黒瀬康平(広島県)の三氏,開票管理人に得地一久(北海道),渡部透(新潟県),美川隆造(佐賀県)の三氏の指名があり,投票が開始された.投票総数三百三十七(無効票なし,白票二,有効票三百三十七),結果は関原敬次郎氏(福岡県)百七十票,内藤哲夫氏(神奈川県)百六十五票で,関原氏が議長に当選.関原氏があいさつを述べ,仮議長を交代して議長席に就く.
副議長(定数一人)は,立候補者が石川育成氏(岩手県)一人であったため,同氏が無投票で副議長に当選した.
関原議長より,八人の議事運営委員会委員指名があり,会長選挙(定数一人)に入る.投票総数三百三十七(無効票なし,白票九,有効票三百三十七),開票結果は坪井栄孝現会長(福島県)百九十一票,西祥太郎氏(京都府)百三十七票で,坪井会長が四選を果たした.
昼食休憩をはさみ,午後は,副会長・常任理事(理事・監事および裁定委員は定数内のため,すでに立候補者全員の当選が確定)の選挙が予定されていた.しかし,西氏側キャビネット全員の辞退届が提出され,その結果,いずれの役職においても定数内立候補となったため,投票はなくなり,残った立候補者全員の当選が決定した.
選挙後,当選者全員が登壇,議長から議場に紹介され,坪井会長が当選者を代表してあいさつに立ち,会員への感謝と今後の協力を要請して,役員選挙を終了した.
代表・個人質問 |
第二日目,午前十時に関原議長が再開を宣言.
冒頭,坪井会長が所信表明を行い,医療をめぐる状況の困難さを率直に示すとともに,難局に立ち向かう会長としての決意を述べた.
つづいて,森亘日本医学会長が,日本医学会の現状を報告し,あわせて日医の変わらぬ支援を期待する旨あいさつした.
ついで,糸氏英吉副会長が登壇し,代議員全員が起立して,昨年度中に物故された千四百九人の会員の霊に黙祷を捧げたのち,会務報告を行った.
午前十一時から,恒例に従い,執行部に対する代議員の質問を開始した.
今回のブロック代表質問者は,次の六人である.
(一)小國美種代議員(近畿ブロック・兵庫県)「医師会臨床検査センターの日本医師会における位置づけについて」
(二)増田一雄代議員(北海道ブロック・北海道)「今回の診療報酬改定について」
(三)藤森宗徳代議員(関東甲信越ブロック・千葉県)「診療報酬のマイナス改定について」
(四)吉永帰一代議員(中部ブロック・静岡県)「医療制度改革について」(1)高齢者医療制度(2)特定療養費の拡大(3)二・七%の引き下げ.
(五)辻政義代議員(九州ブロック・福岡県)「米国型管理医療制度導入阻止と医道倫理の確立を目指して」(1)医療構造改革と診療報酬改定(2)厳しくなる医療機関経営(3)老人の自己負担(4)「医の倫理綱領」.
(六)末長敦代議員(中国四国ブロック・岡山県)「医療制度改革に対する日本医師会の取り組みについて」(1)日医独自の診療報酬体系の作成(2)国民を医療に関心づけるような姿勢(3)若手医師の【?】医師会離れ【?】の問題.
午後一時三十分,個人質問に入る.個人質問者は二十一人.
主な質問の内容は,「日医の広報活動」「診療報酬改定」「日医と日医総研の関係」「医療制度改革に対する日医の対応」「医療事故の苦情処理体制」「ORCAの進捗状況」などである(詳細は,日医雑誌四月十五日号参照).
代表・個人質問とも,初の診療報酬引き下げとなった今回の改定について質疑が集中.関連質問も含めて,かなり白熱した議論が展開され,予定の時間を大幅にオーバーした.
議案審議 |
午後二時二十分,時間の都合で個人質問を一時中断し,提出議案の審議に移る.
まず,第一号議案「平成十三年度日医会費減免申請の件」を上程,提案理由説明ののち可決.ついで,第二号議案「平成十四年度日医事業計画の件」,第三号議案「平成十四年度日医予算の件」,第四号議案「平成十四年度医賠責事業特別会計予算の件」,第五号議案「平成十四年度日医総研事業特別会計予算の件」,第六号議案「平成十四年度診療情報の提供の環境整備事業特別会計予算の件」,第七号議案「日医会費賦課徴収の件」を一括上程,執行部の提案理由説明の後,予算委員会(各ブロックから選出された二十五名の委員で構成)に審議を付託.追加議案として,第八号議案「日医役員功労金支給の件」(退任者は小泉明前副会長ほか十六人)を上程し,賛成多数で可決.
その後,役員会議室で予算委員会が開かれ,議場では未了分の個人質問を続行.
午後三時五十二分,審議を再開し,國井一彦予算委員長(山形県)が,「付託された議案を審議した結果,承認することに決定した」旨報告.議長が第二〜第七号議案の採決を行い,賛成多数で可決された.
午後五時五分,予定より一時間延長して個人質問を終了.坪井会長,石川副議長が閉会のあいさつを行った.
なお,会議の途中,今回の診療報酬マイナス改定についての抗議文を小泉純一郎総理,坂口力厚労相,与党三党宛に提出することの緊急動議が行われ,採決の結果,可決成立.議長・副議長によって,抗議文が作成されることとなった.
定例総会 |
引き続き,第六十回日本医師会定例総会を開催.
坪井会長が議長となって,(1)庶務および会計の概況に関する事項,(2)事業の概況に関する事項,(3)代議員会において議決した主要な決議に関する事項―を報告し,全日程を終了した.
予算委員会 |
平成14年度予算を審議、承認
本会議から第二,三,四,五,六,七号議案についての一括審議を付託された,予算委員会が,二十五名の委員と,関原敬次郎議長,石川高明副会長,宮坂雄平常任理事および井石哲哉,倉品克明両監事の出席のもと,午後二時五十二分より,四階役員会議室で開催された.
関原議長の司会で始まり,委員長に山形県の國井一彦委員を互選.
第二号議案の質疑応答につづき,宮坂常任理事が,第三号から第七号議案について一括して説明を行った.
予算は,当期収入合計と前期繰越収支差額からなっている.前期繰越収支差額について,平成十三年度は,意見広告,署名運動などが三億円,准看専門学校助成金,新規事業など一億円がかかり,収入よりも支出が四億円多くなり,平成十四年度への繰り越しは,前年度比六億円少ない十七億円を見込んでいる.
平成十四年度の新規事業は,ORCAを中心とした医療情報の強化,臨床研修の推進,介護報酬改定作業,会員証発行などを予定しており,収支状況を反映して,厳しい予算案である.節減する項目は,委員会の統廃合,委員数見直しの他,各事業についても見直しを行った.
その後,質疑応答に入り,「医賠責の保険料および保険の収支」「ORCA,日医総研の収支」「勤務医会員の会費」などについて質問が出され,石川副会長,宮坂常任理事がそれぞれ回答した.
質疑の後,委員長から六件の付託議案が一括して委員会に諮られ,挙手による全員賛成で,原案どおり承認可決された.