日医ニュース 第975号(平成14年4月20日)
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かかりつけ医と生涯教育 |
医療情報の提供の推進を図る観点から,医師の専門性に関しての広告規制を緩和することになり,以下の基準を満たす団体(各々の団体が厚生労働大臣に基準を満たしている旨を届け出て受理されたものに限る.厚生労働大臣は,これを受理する際に,日本医学会,日医などの意見を聴取する)から専門医の認定を受けている医師がいることを広告できることになった.
日医は,かねてより医師の専門性に関して広告することに対しては反対の立場をとってきた.反対の大きな理由は二つある.
一番目は,数多くの学会や団体が,専門医,認定医などを定めており,それらの基準は各々ばらばらで,なかにはその内容が疑問視されるようなものまで含まれている.したがって,それらが広告されることは,国民に対して誤解を与え,場合によっては健康被害を起こしかねない.すでに,それに近いような事例が発生している.
二番目は,国民(患者さん)が「専門医」を受診しなければならない必要性が生じる確率はきわめて低い.そのような場合に,患者さんが独自に広告をみて「専門医」を探すより,「かかりつけ医」に相談して,「かかりつけ医」から「専門医」を紹介してもらう方が,迅速でかつ適切な選択ができる.国民は,平生から「かかりつけ医」を選んでおくことが重要であり,「かかりつけ医」を選ぶためには,専門性の広告は不必要である.
一番目の反対理由に対して,今回の「専門性」を担保するための基準が設けられた.二番目の反対理由に対しては,日本の医療制度の優れた特徴であるフリーアクセスの原則からして,独自に「専門医」を選びたいという人があれば,その権利は確保されるべきであるという主張があり,その意見を認めざるを得なかった.
以上のような経緯で,医師の専門性に関する広告の規制が緩和されることになったが,日医としては,あくまで「かかりつけ医」から「専門医」へという医療機能連携を推進していきたい.