日医ニュース 第977号(平成14年5月20日)

救急救命士による適切な気道確保に関する研究班報告書
現行の気道確保法で劣らずと結論


 「救急救命士による適切な気道確保に関する研究班」(主任研究者:平澤博之千葉大学大学院医学研究院救急集中治療医学教授)の平成十三年度総括研究報告書が,このたび発行された.
 この研究班には,羽生田俊常任理事が参加し,報告書のなかで,酒田地区消防組合(山形県)より提出された資料をもとに,酒田地区におけるCPR対象者の行為別心拍再開率などの検討を行っている.その結果,気管挿管実施が生存率の向上に寄与しているか否か,その関連性は,今回の資料では証明できなかったとしている.むしろ,生存率の向上と救急救命士および高規格救急車の配置情況との関連性が示唆されると述べている.
 今回の報告書全体の概要は以下のとおり.
【研究目的】病院前救護体制における気道確保としての気管挿管の有用性を他の気道確保法と比較することによって,救急救命士による器具を用いた気道確保が適切に行われるための方策を検討することを目的とした.
【研究方法】過去二十年間の海外文献を調査し,パラメディクスによる気管挿管と他の気道確保法との有用性や,各種病態における気道確保法の選択について検討した.また,海外におけるパラメディクスによる気管挿管を実施するための就業前教育・研修体制についても調査した.さらに,救急救命士による気管挿管が実施された国内の一部地域における関係者からの聞き取り調査を実施し,救急救命士による気管挿管の有効性を医学的に検証した.
【結論】救急救命士による現行の器具を用いた気道確保法は気管挿管法に比較し劣るものではなかった.しかしながら,病態によっては気管挿管の方がより有効なことも考えられ,これらの傷病者への対応については,今後さらに検討を加える必要がある.また,院外心肺停止事例の救命率の向上には適切な気道確保法の選択のほかに電気的除細動をより早期的に行うことも重要で,これらが有効かつ安全に実施されるためには,メディカルコントロール(MC)体制を構築し,教育・研修体制を充実させると共に事後検証を確実に行う必要があるとの結論に至った.
 (なお,全文はホームページhttp://www.mhlw.go.jp/topics/2002/04/tp0419-1.htmlを参照)


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