日医ニュース 第983号(平成14年8月20日)
医療安全管理指針のモデルを作成 日医の基本的姿勢を示す |
日医は,このたび,病院,診療所の各施設において組織的に医療安全対策を推進するうえで参考となるよう「医療安全管理指針」のモデルを作成した.
「患者の安全確保対策室」(室長 糸氏英吉副会長)のもとで検討を行い,病院向けと診療所向けの二つのモデルを作成したもので,各施設が,「医療安全管理指針」を作成する際の基本的な事項が盛り込まれている.
基本理念としては,個人レベルの事故防止対策と医療施設全体の組織的な事故防止対策の二つの対策を推し進めることで,医療事故を無くし,患者が安心して安全な医療を受けられる環境の整備を目標としている.
項目は,(1)総則(2)医療安全管理委員会(3)報告等にもとづく医療に係る安全確保を目的とした改善方策(4)安全管理のためのマニュアルの整備(診療所向けモデルでは「作成」)(5)医療安全管理のための研修(6)事故発生時の対応(7)その他―となっている.
事故発生時の対応については,次のように,日医の基本的な姿勢が示された.
医療側の過失によるか否かを問わず,患者に望ましくない事象が生じた場合には,可能な限り,まず,総力を結集して,患者の救命と被害の拡大防止に全力を尽くす.自院での対応が不可能な場合には,遅滞なく他の医療機関に応援を求め,そのために必要な情報・資材・人材を提供する―など,情報を知りえたあらゆる人が病院長または院長に報告する他,場合によっては,医療安全管理委員会が今後の対応についての検討を行う.事故の発生を迅速かつ正確に病院長または院長に知らせることや,患者本人,家族等にも,事故の状況,現在実施している回復措置,その見通し等について,誠意をもって説明することも求められている.
指針の末尾には,いくつかの医療施設が院内で自主的に作成し用いている報告書式の参考例と,十月一日施行(九月一日から届出書受付)の医療安全管理体制未整備減算に関する告示(抜粋),通知(抜粋),および届出書添付書類―などが添付されている.
なお,本指針は,八月十五日号の日医雑誌に全文掲載された.
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