日医ニュース 第983号(平成14年8月20日)
資料版 平成12年度国民医療費の概況 厚生労働省 |
「国民医療費」は,当該年度内の医療機関等における傷病の治療に要する費用を推計したものである.この額には診療費・調剤費・入院時食事療養費・老人訪問看護療養費・訪問看護療養費のほかに,健康保険等で支給される移送費等を含んでいる. 国民医療費の範囲を傷病の治療費に限っているため,(1)正常な妊娠や分娩等に要する費用,(2)健康の維持・増進を目的とした健康診断・予防接種等に要する費用,(3)固定した身体障害のために必要とする義眼や義肢等の費用は含んでいない.また,患者が負担する入院時室料差額分,歯科差額分等の費用は計上していない. なお,平成12年4月から介護保険制度が施行されたことに伴い,従来国民医療費の対象となっていた費用のうち,介護保険の費用に移行したものがあるが,これらは平成12年度国民医療費に含まれていない. |
1 平成12年度国民医療費
国民医療費は30兆3583億円であり,前年度の30兆9337億円に比べ5754億円,1.9%の減少となっている.これは,平成12年4月から介護保険制度が施行されたことに伴い,従来国民医療費の対象となっていた費用のうち,介護保険の費用に移行したものがあるためである.
国民一人当たりの医療費は23万9200円であり,前年度の24万4200円に比べ2.1%減少している.国民医療費の国民所得に対する割合は7.98%(前年度8.10%)となっている.
2 制度区分別国民医療費
制度区分別にみると,医療保険等給付分14兆214億円(構成割合46.2%),老人保健給付分10兆2399億円(33.7%),公費負担医療給付分1兆6051億円(5.3%)となっている.また,患者負担分は4兆4919億円(14.8%)である.
3 財源別国民医療費
国民医療費30兆3583億円のうち,「保険料」は16兆910億円(53.0%)であり,「国庫」は7兆4302億円(24.5%),「地方」は2兆3183億円(7.6%)である.
4 診療種類別国民医療費
国民医療費のうち,一般診療医療費は23兆9608億円(78.9%)であり,そのうち入院医療費は11兆3425億円(37.4%),入院外医療費は12兆6183億円(41.6%)である.また,歯科診療医療費は2兆5575億円(8.4%),薬局調剤医療費は2兆8081億円(9.2%),入院時食事医療費は1兆29億円(3.3%)となっている.
対前年度増加率をみると,一般診療医療費は0.2%の減少,歯科診療医療費は0.5%の増加,薬局調剤医療費は15.8%の増加,入院時食事医療費は7.1%の減少である.
5 年齢階級別国民医療費
国民医療費のうち,0〜14歳は2兆1183億円(7.0%),15〜44歳は4兆9330億円(16.2%),45〜64歳は8兆7160億円(28.7%),65歳以上は14兆5910億円(48.1%)である.
国民一人当たりの医療費をみると,65歳未満は15万300円,65歳以上は66万2000円である.一般診療医療費を一人当たり医療費でみると,65歳未満は11万4200円であり,65歳以上は54万3400円である.歯科診療医療費を一人当たり医療費でみると,65歳未満では1万8200円であり,65歳以上では2万9300円である.
6 傷病分類別一般診療医療費
一般診療医療費を主傷病による傷病分類別にみると,「循環器系の疾患」5兆3708億円(22.4%)が最も多く,次いで「新生物」2兆5928億円(10.8%),「呼吸器系の疾患」1兆9925億円(8.3%),「筋骨格系及び結合組織の疾患」1兆9054億円(8.0%),「消化器系の疾患」1兆7313億円(7.2%)である.
65歳未満と65歳以上のそれぞれ上位5傷病の構成割合をみると,65歳未満では「循環器系の疾患」,「呼吸器系の疾患」,「新生物」の3傷病で33.5%であるのに対し,65歳以上では「循環器系の疾患」が32.7%を占めている.