日医ニュース 第984号(平成14年9月5日)

会員の窓 

 会員の皆さまの強い要望により,投稿欄「会員の窓」を設けました.意見・提案などをご応募ください.

すべての会員へ日医バッジの無料配布を
宮崎代介(熊本県・熊本市医師会)

 元来バッジが好きで,デパートでもよく買い求めている.したがって,他人の持ち物も気になってしまう.数年前,ある会議で同じテーブルに座った他県の先生の見慣れない品の良い胸章が目に入った.「失礼ですが,そのバッジは何ですか」「あ,これは日医のバッジですよ」
 そうです,私は日医の会員になって十数年経っていたにもかかわらず,その存在を知らなかったのです.
 医神アスクレピオスの杖に巻き付いているあの蛇が三角を形どり,右の頭上に小さくJMAとあるそのピンバッジが大いに気に入った私は,早速,熊本市医師会理事会のメンバーに,その由来と品の良さを説き,事務局を通じ各自負担で買いもとめてもらった.
 ところで,日医ニュースに日医会員章有料頒布との記事が出ていたが,そもそも会員章なるものは,その会員になった時点で渡すべきものだと思う.
 今,医師会の結束力の弱さが指摘され,団結が叫ばれているこの時,決して安くない納入金のなかから,入会時にぜひ全会員に無料でアスクレピオスの解説文とバッジを配布してもらいたい.また,既入会会員には,今からでも決して遅くない.希望者全員に無償配付をしていただきたい.
 わずか千五百円で,日医会員としての自覚と,同胞としての親密感が生まれ,ひいては,日医の大同団結に寄与できるかも知れない.
 坪井栄孝会長にぜひご一考をお願いしたい.

役に立たなかった禁煙掲示
山内秀一郎(長崎県・佐世保市医師会)

 十年ほど前のことである.待合室を禁煙にし,灰皿を撤去したことがある.数日後,スタッフから灰皿を置かせてくれとの申し出があった.吸殻が植木の鉢や,甚だしい場合はマガジンラックのなかにまで突っ込まれており,危険だというのである.そこで止むなく,以下のような掲示をして灰皿を置くようにした.
 「この待合室は禁煙ではありません.したがって灰皿は置いてあります.一本のたばこは人の命を六分縮めるといわれています.この待合室で,最低六分間は寿命を延ばして頂きたい…それが本院スタッフ一同の願いです」
 この掲示は大好評だった.しかし,灰皿は何時も吸殻で一杯だった.「いいですね」と声をかけてくれたのは,すべてたばこを吸わない人ばかりで,肝心のたばこのみの目にはとまらなかったようである.
 先日,禁煙箇所で喫煙をし,駅員に注意されている人を見かけた.人品,骨柄いやしからぬ人物であった.襟には入会基準が大変厳しいとされる慈善団体の○○クラブのバッジが燦然と光っていた.恐縮しつつ,その人はたばこをもみ消した.ところが,駅員が去り,しばらくすると再び,紫煙をくゆらせ始めたのである.厚かましい人だなぁ,○○クラブも落ちたものだと考えた.しかし,このような風景をまま見かけることに気付き,待てよ,と小首を傾げた.たばこのみは,無意識のうちにたばこを手にしていることがあるのではとの思いに達したからである.ご意見をお聞きしたいものである.たばこのみは,本人がたばこを手にしていることすら気付かないことがある…もし,そうなら,掲示,パネル等では役に立たない…当然,その存在に気付かないだろうから.
 今回,日医の打ち出した待合室禁煙方針,いかに徹底させるか,思案投げ首の今日このごろである.

未来医師会ビジョン委員会答申を読んで
長谷川頼彦(広島県・賀茂郡東部医師会)

 平成十四年三月,未来医師会ビジョン委員会は将来の日本医師会はいかにあるべきかについて答申をまとめている(日本医師会HP:会員向け情報:委員会と報告書).ここで討議されたように,日医が医師の既得権益を守る圧力団体なのか,地域の医療を守る専門集団なのか,「未来」といわず,今すぐにでも「医師会はいかにあるべきか」を,会員一人ひとりが考え直し,今後の医師会の組織作りに実現して行くことが必要だと思う.
 具体的には,各医師会の役員の研修と,次期指導者の養成が急務である.年功序列,人脈,組織によって,名誉職のようにでき上がった執行部や,一部の利益のみを強調する理念なき指導者では,これからの医師会の発展はありえない.未来医師会ビジョン委員会答申は,医師会をどのようにするかの具体的な方法にまで言及しているが,答申を単なる作文として放置するのではなく,また,未来のこととして漫然と見るのでもなく,直ちに,医師会のあるべき姿を追求し,その実現に着手すべきだと思う.答申を基にさらに明確なビジョンを作り上げ,現場の各医師会役員に対してしかるべき研修を行い,次の医師会を背負う若い人たちを養成する「場」を持つことが,ぜひ必要だと考える.
 実際の地区医師会業務は,行政と上部団体から洪水のように流れてくる雑務に追いまくられるなかで,少しでも創造的な仕事ができ,会員として誇りの持てる明日の医師会を作り上げていきたいと思う.

事故防止百人一首
坪田紀明(兵庫県・明石市医師会)

記事見れば 千千に物こそ 悲しけれ
  わが病院の 事故にはあらねど
馴れすぎて 事故きにけらし うろたえの
  日頃の報い 襲いかかりき
患者さま どなた様かと ふりむけば
  われより他に 人影もなし
身と心 病んで訪れ 癒されむ
  世に病院と 人はいふなり
歎けとて ケアレスミスの なさけなさ
  恨み顔なる わが涙かな
これやこの 切るも切らぬも 悩んでは
  いま一度の 説明の義務
ひとはみな 他人のことよと 思うらむ
  明日は我が身ぞ 事故の当事者
一瞬の 心の緩み 盗られたり
  事故に魅入らる 我が身悲しも 
事故見ての 後の心に くらぶれば
  昔はものを 思はざりけり
泣きぬれて 悔やむものとは 知りながら
  猶恨めしき 事故の一瞬


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