日医ニュース
日医ニュース目次 第1005号(平成15年7月20日)

コパシ便り

ネパール王国 コパシ便り98

カトマンズの形成外科専門病院
(スシュマコイララ記念病院)
ネパールの火傷と医療支援の一例

 カトマンズから約二十キロメートルの郊外に,ドイツの形成外科医師を中心としたNGOが,ドイツ市民一万人の支援で形成外科専門病院を設置した.
 ネパールの家庭では,今も多くが薪ストーブや灯油圧縮式コンロで料理をしており,引火したり,爆発したりで,顔面,頸部,上肢の火傷,そして,高度のケロイドの患者が多数見られる.入院して形成外科の専門治療を受け,リハビリも受けることができるこの病院には,ネパール全土から多くの患者がやってくる.強度の変形,運動制限により社会からも阻害されてきた人々が,新しい命を得て旅立っていく.
 ドイツからの専門医は,カトマンズ医科大学の教授も兼ねて,若いネパール医師の研修も担っている.また,世界各国から短期ボランティアで,多くの形成外科医,歯科医,麻酔医,看護師が支援にきている.

ネパールのがんと緩和ケア

 先日,カトマンズで南アジア地域がん学会が開かれた.ネパールでは,いまだに健康診断,がん早期発見の意識が低く,多くの患者が初診時に末期がんと診断される.緩和ケアの重要性が指摘され,各病院にも専門病棟設置の計画が発表されていた.
 カトマンズにも,医師のボランティア活動と義援を基にして,患者の自己負担なしに緩和ケアサービスを行う最初のホスピスが建設された.しかし,広汎に緩和ケアを低コストで実施するには,施設ケアではなく,自宅でのホームホスピスケアの啓発と組織作りが必要となる.

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