 |
第1006号(平成15年8月5日) |

日本医師会認定医療秘書の養成拡大へ向けて

日本医師会認定医療秘書は,昭和五十六年より日医のカリキュラムに基づく新制度として発足した.その歴史をさかのぼれば昭和三十五年に副看学院が創設されたことに始まり,その後二十数回の協議会を経て,故武見太郎日医会長の発案で生まれた.養成校の全国組織である全国医師会医療秘書学院連絡協議会(全医秘協)は昭和五十八年に名称変更されているが,三十九年の長い歴史を持っている.現在,外部教育施設(全日制)も認められ,通信制は一校,全日制は七校である.
医療秘書の質を評価,担保するものとして,日医認定医療秘書試験が実施され,二十三回を数えるに至っている.合格者は八千七十三名である.日医認定医療秘書の認定証を取得するには,さらに,日医規定の秘書技能科目(英検,簿記,情報処理等のうち三種類以上)を取得していることが必要であり,平成十五年三月までの認定者数は五千百六十二名にのぼっている.平成十四年から認定証と同時に記章(バッジ)を,交付しており好評である.日医認定医療秘書は,医療現場で非常に有益に活躍している.
医療秘書は,専門的な医療事務の知識と最新の情報処理技能を備えるとともに,診療に多忙な医師を補佐する秘書的な役割を併せ持つ職種である.診療報酬請求事務については,全医秘協が実技試験を実施しており,さらには,介護保険の知識等,時代の要請に対応した養成に努力を重ねている.IT(情報技術)の時代に突入し,医学的基礎知識はもちろん,情報管理は必須になってくる.また,国民の医療に対するニーズが多様化するなかで,窓口業務(受付)等を担う事務職員の資質の向上が求められている.医師会で養成した専門性を持った医療秘書は医療機関(診療所)において,即戦力として必ず役立つ存在であろう.
さて,本年度の全医秘協の担当は静岡県医師会であり,定例総会は,十月二十五日に静岡市で開催される.全医秘協では,初めての試みとして医療秘書学院のない都道府県医師会の参加を呼びかけている.日医では本年四月二日付にて,第二十三回試験結果分析評価報告書と養成に当たっての参考資料を未設置の三十九都道府県医師会に送付したが,改めて七月三日付で,未設置県医師会長宛に参加勧奨をしたところである.当日は,学校見学,授業参観も計画されており,各県一名以上の特段の参加をお願いしたい.このような機会に日医認定医療秘書の存在を再認識し,既存の専門学校への委託方式等により医療秘書養成を開始していただきたいと考えている.日医としても,この長い歴史を持つ日医認定医療秘書の量的,質的整備が必要と認識し,その全国拡充に向けて鋭意努力していくつもりである.
|