日医ニュース
日医ニュース目次 第1008号(平成15年9月5日)

神経芽細胞腫マススクリーニング検査のあり方に関する検討会報告書
引き続き検証の推進と適切な対応を

 小児がんの一種である神経芽細胞腫を早期に発見し,できるだけ早い段階で適切な措置を講じることを目的として,生後六〜七カ月のすべての乳児を対象に,尿によるマススクリーニングを行う事業(神経芽細胞腫検査事業)が昭和五十九年度以来実施されてきた.
 ところが,近年,欧米において神経芽細胞腫マススクリーニングの有効性に関して疑問があるとの報告がなされ,日本においても本事業の実施が与える影響について検討する必要性が指摘された.このため,厚生労働省において検討会が開催され,今後のあり方について報告書がとりまとめられた.
 その結果,現在行われている神経芽細胞腫検査事業は,(1)神経芽細胞腫の罹患と死亡の正確な把握(2)神経芽細胞腫マススクリーニングの実施時期変更等,新たな検査法の検討・評価(3)神経芽細胞腫による死亡の減少を目指した,臨床診断と治療の向上のための研究の推進と実施体制の確立―を条件として,いったん休止することが適切であり,引き続き,神経芽細胞腫に関する状況を評価し,これに基づいた適切な対応をとることが必要であるとしている.
 また,今後新たなスクリーニングを公的施策として導入する際には,有効性の評価を事前に十分に尽くす必要があることも指摘している.
 なお,本検討会には,日医から柳田喜美子常任理事が参加し,前記三つの条件を満たすとともに,希望者に自己負担による検査を受けるために必要な情報提供等について要望した.

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