|
第1011号(平成15年10月20日) |
記者会見
人命が失われたことに遺憾の意
東京慈恵会医科大学附属青戸病院事件
糸氏英吉副会長は,九月三十日,日医会館で,東京慈恵会医科大学附属青戸病院事件(前立腺がんの手術ミスで同病院の医師三人が逮捕された事件)について記者会見を行い,遺憾の意を表明した.
糸氏副会長は,「今回の事件は,遺憾な事態であり,医師としてやりきれない思い」であると述べ,現在は司直の手に委ねられているので,その審判の結果をみて,慎重に判断したいとした.
現在のところ具体的な情報については,新聞報道などによるしかないため,先走ったコメントはできないとしながらも,「基本的に,これら三人の医師は,人の命をどう考えているのか.同時に医師以前の社会人として,人命への恐れがなかったのか.手術に十三時間かかっていると聞いているが,患者さんが出血して,どうしようもないときに,なぜ他の医師の支援を要請しなかったのか.また,だれも助ける人がいなかったのか.病院のシステムは一体どうなっていたのか」と疑問を投げかけ,病院として,医師として,基本的な対応がおろそかになっていたと話した.
また,昨年の十一月に事故が起こって警察に届けられ,今になって逮捕というのも理由がわからないとして,「いずれにしろ,手術だから不可抗力のこともあったのかも知れないが,それにしても,なんとか命をとどめる方法がなかったものか」と無念さをにじませた.
つづいて,糸氏副会長は医師の教育のあり方に言及し,「日医は,生涯研修のなかで,医療安全について積極的に取り組むようにしており,さらに,日医だけではなく,関係学会にも連携を呼びかけ,活動している.われわれは,現在,医師としてのあるべき姿を求めて,医師の職業倫理規定を作成中である.今回のことは,日医としても大変残念なことであり,二度とこのような事件が起こらないよう,これから,当事者の説明を十分に聞き,今後の対応を考えたい」と説明した.
|