日医ニュース
日医ニュース目次 第1017号(平成16年1月20日)

会員の窓

 会員の皆さまの強い要望により,投稿欄「会員の窓」を設けました.意見・提案などをご応募ください.

たばこの減らし方
磯部房元(静岡県・浜松市医師会)

 終戦で比島の米軍の捕虜となり,陸軍病院でJAMAを見る.兵士に射撃をさせて,最も成績が良かったのは非喫煙者,悪いのが喫煙者で,朝から禁煙させた者,中間は喫煙者に一服吸わせてから撃たせた者であった.
 肺がんが多かったのは紙巻たばこ.舌・口唇がんはパイプ・葉巻党であったので,紙巻たばこの紙を燃やして煙攻めにした実験動物の気管支粘膜等に,がん細胞は発見できなかった.この理由は記してなかったが,パイプや葉巻の煙は深く吸い込まず,ふかすからだと思う.
 アメリカの禁酒法の失敗に鑑み,急に禁止するとヤクザに絶好の金蔓を与えることになる(製造・販売・喫煙者が地下に潜る)ので,段階的に煙草を減らすのが良い.
 まず,(1)病院,学校だ.先生がくわえたばこで患者や生徒に,「お前たちは煙草を吸うな」といってもまったく説得力はない.
 (2)公共施設,劇場,交通機関等人の集まる所.
 (3)煙草自販機撤去,煙草値上げ.
 (4)車の灰皿,ライターは禁止かオプション.
 (5)たばこ函に北米なみに煙害を大きく記すこと.「吸い過ぎに注意しましょう」など生ぬるい! ニコチンの依存性を考えれば,最初の一本が命取りだと思え.
 喫煙者に喫煙権ありと主張するならば,否応なしに副流煙を吸わされる者には嫌煙権がある.若い女性に喫煙者が増えた由.TV,映画の喫煙シーン禁止のこと.ヤニ臭い子にはボクはチューしてやらないぞ!

IT化
古岡邦人(東京都・立川市医師会)

 X‐P,CT,MRIをはじめ,臨床医学の長足の進歩は理工学系や基礎医学に負うところが大きいが,そのなかで,現在,医療連携のツールとしてのITの果たす役割は大きくなっている.
 国立大付属病院が,今春の大学の法人化を契機に,効率化を求められ,業績次第で交付金が増減する.特定機能病院などが,医師会と連携してオンラインで各医療機関を結び,どこでも同じデータを引き出せる「一医療圏一カルテ」を目指すのも医療連携事業の一つである.セカンドオピニオンも,かかりつけ医からの電子カルテを参照しながらの方が,ずっと効率が良い.大病院が症例数を増やすのは,医療連携に基づくのが最も合理的である.
 IT化に異を唱える方は,セキュリティなどの理由を上げるが,それらはすでにクリアされているのをご存知だろうか? むしろ,ITを使わないと進まない事業がたくさんあるのである.
 ただ,電子カルテは,インターネットで転送したり,フロッピーディスクを持たせても,自院のコンピューターに同じソフトウェアが入っていないと再現できない.業者同士に競合させ,医師会員にとって最も廉価で使い勝手の良いソフトを選ぶのは,日医規模でないとできないのである.

がん検診における受診機会の拡大を
岩波 洋(福島県・郡山医師会)

 検診事業が一般財源化され,一部の町村では後退し始めている.検診の意義のさらなる啓発と受診機会の拡大が急務である.
 集団検診(バス検診)により,交通の便の悪い医療過疎圏(町村など)では,多くの住民がその恩恵を受けてきたのは事実である.一方で,集団検診は,移動の検診バスの運用と検診場所の確保の両面から,その機会は年一回,しかも日時が極端に制限されてきた.そのため,なにかの都合で受診できないこともあり,二,三年も受診しなかった住民も少なくなかった.
 他方,医療充足圏(都市部)で行われつつある施設(個別)検診は,診療所や病院にて,日常の診療のなかで行われるため,受診機会が拡大され,受診者に利便性がもたらされている.
 今後は,町村の住民に都市部と同様の受診機会を与えるような努力が必要である.そのためには,検診バスの稼働率をあげ,それに必要なマンパワーを確保すべきであろう.併せて,医療充足圏では,今後,集団検診から施設(個別)検診に移行して,この医療充足圏で行われてきた集団検診での労力を,医療過疎地に転換することで可能と思われる.

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