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第1024号(平成16年5月5日) |
役員業務紹介 ─就任にあたっての抱負と担当業務を紹介─

櫻井 秀也 副会長
会計・年金・税制,医療保険,学術,生涯教育,情報,広報,庶務,調査,会員福祉,会員情報,日医総研(所長),図書館(館長) |
医師会活動の基盤は,地域医師会とそれを束ねる都道府県医師会にある.そのことを念頭において,日医副会長の重責が果たせるように努力していきたい.副会長としての職務分担は,別記のとおり多岐にわたるが,各々担当の常任理事がいるので,担当常任理事が働きやすいように助けていくという姿勢で,進めたいと思っている.各種の問題について,今までの医師会活動のなかで何らかの関連を持っていたものが多いので,担当常任理事への適切なアドバイスができると考えている.
外部の審議会についても,中医協をはじめとして,いくつかの会議に参加することになるが,これらについても,担当常任理事が中心的役割を果たせるようにサポートしていきたいと考えている.
さらに,今回特に,医療保険,介護保険,地域保健・医療,日医総研については,数名の役員による内部チームを作って問題の検討に当たることになり,すべてのチームに副会長が参加することになった.このチームの運営においても,各担当理事が中心になって進めていけるようにしたいと考えている.
副会長三名が,協力・連携しながら,各々の職務分担を果たしていくことで,会務の円滑な遂行ができるように努めていきたいと思っている.
宮崎 秀樹 副会長
薬事一般,労災・自賠責,精神保健,医業経営,医療廃棄物,国際,医療関係職種,母子保健,先端医療(遺伝子医療・再生医療・生殖医療・臓器移植等),治験 |
会員のための開かれた医師会,透明度のある会務運営,特に,診療報酬改定の際のプロセスの明確化と同時に,社会保障制度全体のあり方についても,日医としてどうあるべきかということを提言していく.それには,会内における議論の集約を,いかに実現していくかが大きな課題となる.具体的には,やはり,政治の場で決定されるので,コンタクトを太くしていくことが大切ではないだろうか.
昨今,国民皆保険制度を堅持していくことに対して,いろいろな障害が出てきている.一つは,政府の構造改革で,医療の実態を知らない人たちが,市場経済という観点で日本の医療を捉えている.まずは,そういうことを考えている人たちとよく話し合って,理解を深めていく努力が必要である.また,あらゆる国民,各界,各層とも意見を交換していかなければならないと思う.
私の担当分野はそれぞれ問題を抱えている.労災保険の民営化の話が出ているが,労災で障害が残った方々の問題は非常に大きく,日医としては反対の立場でいく.臓器移植法については,私自身が自民党案のとりまとめにかかわってきたので,十五歳未満の臓器移植の道が開けるよう,今国会中に改正案をまとめていきたい.
寺岡 暉 副会長
医賠責,地域保健・難病,地域医療,精度管理,共同利用施設,感染症対策・危機管理,学校保健,救急医療,産業・環境保健,病院,勤務医,医療安全,健康スポーツ,介護・福祉,医事法制,日医総研(副所長),治験(センター長) |
日本の医療界はかつてない難局に直面している.大変不幸なことだが,医療に対する国民の信頼は大きく損なわれ,医師の自信は揺らいでいる.このような状況下で,日医は医療のあるべき姿を示しながら,地道ではあるが断固たる打開策を一つひとつ講じて行かなくてはならないが,医療界全体が一体となって臨む体制でなければ,到底この難局を乗り切ることはできない.新執行部において最善を尽くしたい.
医療の現場に直結する多くの会務を仰せつかった.地域医療の活性化と質の向上を通じて,医療の再生と信頼回復を結び付けていきたい.具体的には,かかりつけ医の機能強化,医療と介護の多職種連携,難病や緩和ケアなどを含めた地域ケアシステムの整備,職域保健・学校保健・地域保健の一元化,救急医療体制の整備と充実,医療安全対策,自浄作用活性化など地域医療提供体制の構築と質の向上を郡市区,都道府県医師会と連携して進め,国民の安心と信頼に足る医療を目指す.国民皆保険制度においても,医療の質と安全確保が保障されなくてはならない.治験センターにおいては,営利企業に加担することなく,真に国民の医療と健康に資する医師主導の治験事業を地域とのネットワークによって推進していく.
西島 英利 常任理事
精神保健に関しては,患者に対する偏見をなくすことが大切である.精神科以外の医療機関の医師にも,うつ病を正しく理解してもらい,自殺の危険性のある者が医療機関を受診した際に,精神科医と連携をとっていくことが,年間三万人台に上る自殺者の減少につながると考えている.そのために,日医は,自殺予防マニュアルを作成したといえる.
医療事故を大きく分けると,どうしても防げない事故と,きちんとやっていれば防ぐことができる事故の二つに分けることができる.どうしても防げない事故に関しては,防ぐ努力はしなければならないが,医賠責での対応となる.きちんとやれば防げる事故に関しては,日医医療安全推進者養成講座を開いて,医療機関における組織的な安全管理体制の推進を図っている.そこでのさまざまな分析結果を,全国の医療機関にフィードバックしていく体制作りを進めていきたい.
雪下 國雄 常任理事
学校医は,今の内科,耳鼻科,眼科の三科体制では間に合わないので,専門相談医ということで,産婦人科,精神科,皮膚科,整形外科の先生方の協力を得て,広く子どもたちを見守っていく学校医活動を推進していきたいと思っている.
感染症については,SARSや新型インフルエンザなどの問題が再び起こってきているので,それを含めて今後に向けて対策を強めたいと思っている.特に,医療機関での補償問題を含めて考えていきたい.新興感染症,再興感染症などが増え,状況が変わってきたので,厚生労働省と一緒に,「感染症ガイドライン」を今年度は改訂したい.
救急対策としては,小児救急の問題を植松会長も重点項目として挙げているように,特に力を入れたい.パラメディカルの人たちの医療行為に関して,種々の問題が起こってきているので,十分検討していきたい.
橋本 信也 常任理事
学術,生涯教育,精度管理,国際,先端医療(遺伝子医療・再生医療・生殖医療・臓器移植等),図書館 |
国民に信頼される医療を構築するため,プロフェッショナルの団体として,医療の質の向上や会員の要望に応えるために尽力したいと思っている.
大事なことの一つは,医療の現状を国民によく知ってもらうことである.医師が努力し,いい医療を行うことはもちろんであるが,国民にも医療をよく理解してもらって,医師と国民とが一緒になり,日本の医療を良くしていくということに努めたい.
もう一つは,長い間,医学教育に携わってきたが,卒前教育,卒後臨床研修も大事であるが,生涯にわたる医師の研鑽ということが大変重要であると思う. これまで生涯教育推進委員会で,生涯教育のさらなる徹底化ということを考えたが,延長線上には医師免許更新という問題が控えていると思う.
今後,国民にさらに質の高い医療を提供していくことに取り組んでいきたい.
藤村 伸 常任理事
植松会長は,「地区医師会が医師会活動の基本である」と,よく話しており,私は,その考えに共感している.
現場が非常に大切である.患者さんをいつも見ている現場の医師の本分とは何か,患者さんに何をしてあげるべきか,そういう原点に戻って医師会活動を進めていきたい.
産業・環境保健は,勤労者や事業者にとって,非常に大切な問題である.乳幼児から高齢者にわたる,生涯保健のなかでその中間に位置する六千万人が対象になるわけだが,いかに保健活動をやっていくか,この点に関し,よく勉強してやっていこうと思っている.
医賠責は,医師会の内部制度であるが,国民に信頼されることが医賠責の問題にも関係してくるので,まず,医療の信頼を回復させることを基本において,医賠責に取り組んでいきたいと思っている.
土屋 隆 常任理事
日医は,医療・福祉・保健を実施,実行する実際の機関からは,少し離れたところにある.
地域保健・医療を担当することになったが,保健・医療・福祉は別々のものではない.個人にとっては生涯にわたって,切れ目なく,その折々に,適切な保健・医療サービスを受けられるということが大事である.
特に,「連携」をキーワードに,保健・医療・福祉の連携,病病連携,病診連携,あるいはコメディカルたちとのチームワークがうまくでき,国民と医療提供者の間の信頼関係を結ぶことができれば,いい医療につながると思う.医療制度改革の議論のなかで,医療法改正も大きなテーマとして取り組まなければならない.地道な提言を,高邁な理念へとつなげると同時に,植松会長の考えを体して,現場で実際の活動をしている会員の声を十分に反映していきたいと思っている.
田島 知行 常任理事
前執行部時代,会内広報をしっかり確立させることに血の出るような努力を雪下常任理事がしており,かなりの成果が上がったと思っている.次に私が受け継ぐのは,対外広報であると思う.
対外広報については,いわゆるマスコミを介しての広報に加え,医師会が直接市民に対してできるような広報手段を模索したいと考えている.こうすることによって,非難の的だけではなく,まともにやっている医師も多いということを伝えたい.
医療廃棄物問題は,不法投棄をなくすことである.腹案もあるので,効果的なシステムを作り上げていきたい.
薬事一般については,近頃,医療事故,過量投与,似たような薬が多い,等々いろいろな問題がある.初めてだが,これからしっかり勉強していきたい.
母子保健については,親の気持ちを十分に勉強し直して,専門家にも指導を仰ぎながらやっていきたいと考えている.
青木 重孝 常任理事
病院担当としていえることは,医師会の組織に若い医師が自ら喜んで入ってくる,もしくは入りやすい医師会を作りたい,それを基本として考えていく.
医療関係職担当として,看護職の養成については,医師会が非常に多くの力を注いで,会員の会費をそこへ投入して養成している.これから従前のように続けていけるかどうかというところに一番大きな問題点がある.また,柔道整復師の養成所が飛躍的に増加していることに危機感をもっている.
医師会立検査センター,介護保険関係の一部の施設も同様である.医師会共同利用施設が,より健全に運営できることを私どもは主眼として考えたい.そのためには,どうしたらいいかということを考えていきたいと思っている.
野中 博 常任理事
職務をみんなで分担し,相談して,連携して行っていこうという植松会長の指示もあり,副担当制をしいている.また,医療保険チーム,介護保険チーム,地域保健・医療チーム,日医総研チームを組んで,副会長三人と主・副担当の理事が集まり協議していく.そこで協議し,結論づけたことを,透明性を持って,地域医師会,国に対して発言していくことになる.
担当の介護保険は,ある面ではかかりつけ医を理解するうえで大事なものと認識している.抜本的見直しが直近に迫ってきているが,大事なことはケアマネジメントと思っている.介護保険の大きな理念を支えるシステムが,医師を含めてまだまだ多くの人に理解されていないことが大きな問題と考えている.施行後五年目の抜本的見直しに向けて,厚生労働省と話をしていきたい.
また,新体制の庶務としての仕事もがんばりたい.
三上 裕司 常任理事
会計・年金・税制には,透明性と,会員によく理解されるような運営が必要であると考えている.特に,税制の問題については,近いうちに消費税率の引き上げという大きな問題もあり,軽減税率の形で交渉を続けていきたいと思っている.
医業経営については,病院だけでなく有床無床問わず,診療所なども経営が安定するような,公平で公正な制度設計を行いたい.
勤務医の問題は,なかなか組織率が上がらないということもあるので,勤務医が医師会の活動に理解を示し,多くの人に入会してもらえるような企画や啓発活動を行っていきたい.また,新しい臨床研修制度の下で,いい研修ができるよう努めたい.
日医の治験促進センターは,医師主導の治験であり,厚生労働省の補助金を分配する形で仕事をしているが,各地域の医師会の一般会員も参加できるシステムを作っていきたい.
松原 謙二 常任理事
医療保険は,チームを作って担当していく.副会長,常任理事の知恵と力をあわせて,厚生労働省と話をしていきたいと思っている.そのポイントは,財政主導主義ではなく,あくまで国民の幸福のためには医療保険がどうあるべきかという点である.
医療においては,IT化が少し遅れているという非難がある.この問題も,患者さんと診療所,病院にとってIT化がどうあるべきかという点を考えて,IT化を強力に進めていきたい.
医事法制にはカルテ開示の問題がある.これも十分に協議していきたい.
日医総研については,元々は日医のシンクタンクとして作られたわけだが,今後,どのように日医執行部の力となれるのか,ということをポイントに考えていきたい.
役員業務分掌(総括・植松会長) 2004年4月5日
業務 |
主担当 |
副担当 |
担当副会長 |
事務局 |
庶務 |
野中 |
三上 |
櫻井 |
庶務 |
会計・年金・税制 |
三上 |
野中 |
櫻井 |
経理、年金税制 |
医賠責 |
藤村 |
三上・野中 |
寺岡 |
医賠責 |
薬事一般 |
田島 |
橋本 |
宮崎 |
地域1 |
労災・自賠責 |
土屋 |
青木 |
宮崎 |
保険 |
医療保険 |
松原 |
青木・野中・三上 |
櫻井 |
保険 |
学術 |
橋本 |
三上 |
櫻井 |
生涯教育 |
生涯教育 |
橋本 |
三上 |
櫻井 |
生涯教育 |
地域保健・難病 |
土屋 |
野中 |
寺岡 |
地域3 |
地域医療 |
土屋 |
野中 |
寺岡 |
地域1 |
情報 |
松原 |
西島 |
櫻井 |
情報企画 |
精神保健 |
西島 |
野中・三上 |
宮崎 |
地域3 |
精度管理 |
橋本 |
青木 |
寺岡 |
地域2 |
医業経営 |
三上 |
野中 |
宮崎 |
年金税制 |
共同利用施設 |
青木 |
三上 |
寺岡 |
地域1 |
広報 |
田島 |
藤村 |
櫻井 |
広報 |
感染症対策・
危機管理 |
雪下 |
藤村・土屋・田島 |
寺岡 |
地域3 |
学校保健 |
雪下 |
松原 |
寺岡 |
地域2 |
救急医療 |
雪下 |
青木 |
寺岡 |
地域1 |
産業・環境保健 |
藤村 |
土屋 |
寺岡 |
地域2 |
医療廃棄物 |
田島 |
青木 |
宮崎 |
地域1 |
国際 |
橋本 |
藤村 |
宮崎 |
国際 |
病院 |
青木 |
三上 |
寺岡 |
地域1 |
勤務医 |
三上 |
青木 |
寺岡 |
庶務 |
医療安全 |
西島 |
野中・土屋 |
寺岡 |
医事法制 |
健康スポーツ |
藤村 |
雪下 |
寺岡 |
地域2 |
介護・福祉 |
野中 |
土屋・松原 |
寺岡 |
介護 |
医事法制 |
松原 |
野中・土屋 |
寺岡 |
医事法制 |
調査 |
松原 |
野中 |
櫻井 |
情報企画 |
医療関係職種 |
青木 |
土屋 |
宮崎 |
地域1 |
母子保健 |
田島 |
雪下 |
宮崎 |
地域3 |
先端医療 |
橋本 |
三上・松原 |
宮崎 |
庶務 |
会員福祉 |
野中 |
三上 |
櫻井 |
経理、年金税制
情報サービス |
日医総研 |
松原 |
西島・野中・三上 |
櫻井(所長)・
寺岡(副) |
日医総研 |
図書館 |
橋本 |
|
櫻井(館長) |
情報サービス |
治験 |
三上 |
橋本・青木 |
宮崎・
寺岡(センター長) |
治験促進センター |
医療保険チーム 櫻井・宮崎・寺岡・松原・青木・野中・三上 |
介護保険チーム 櫻井・宮崎・寺岡・野中・土屋・松原・三上 |
地域保健・医療チーム 櫻井・宮崎・寺岡・土屋・野中・雪下・三上 |
日医総研チーム 櫻井・宮崎・寺岡・松原・西島・野中・三上・橋本 |
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