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第1024号(平成16年5月5日) |


会員の皆さまの強い要望により,投稿欄「会員の窓」を設けました.意見・提案などをご応募ください.
健診には配慮と根拠を
三瀬順一(栃木県・自治医科大学医師会)
本紙一〇二二号(四月五日号)で,彦根医師会の小菅一彦氏は,女子高生の新聞投書に対し,正しい聴診は裸でするものであって,下着の上から聴診するのは間違っていると反論したとされていますが,御説はごもっともな点もありますが,この問題の核心をはずしていると思います.
女子高生が裸での聴診を忌避する理由は,(1)診察に関係ない部分まで見せたくない(2)医師といえども中年男性の視線にさらされたくない(3)他の生徒や教員の視線を遮る工夫が不十分―などが考えられます.
このうち,(1)は,ブラジャーははずし,Tシャツをたくし上げての聴診にするなどの配慮をすべきです.肌や下着を他人に見られる理由は,健診といえどもありませんし,あればセクハラを超えて軽犯罪です.(2)は,女性の持つ正常な羞恥心であり,医学や科学の名をもって,「そんなことは気にしなくてもよい」といったところで,他人の感情に無頓着だと批判されるばかりです.(3)は,小菅氏のような十分な配慮がされている健診はむしろ少数です.教員や学校に対して,生徒が,こういった当たり前の配慮を要求することさえ困難なのが,学校現場の悲しい現状でありましょう.
また,高校生の健診(聴診を含む)が本当に必要かどうか,有所見率も考慮した根拠があるかどうか検討をすべきであるとの問題提起には,私も賛成です.流れ作業的な健診より,個別のニーズを考慮した相談の方が意義深いと思います.ついでに過剰に詳細な項目を要求される大学等の入学時健康診断書の意義も,日医として検討すべきこととして提案したいと思います.
地球温暖化防止に今こそ取り組むべき
伊藤春夫(愛知県・名古屋市医師会)
わが国は,地球温暖化防止のため,二〇一〇年にCO2の排出の六%削減が目標だが,今ではその達成が危ぶまれているのが現状である.
今こそ,その目標を達成し,まだ批准をためらっている米国やロシアを説得すべきであろう.例えば,森林の整備,緑地の拡充,CO2の削減,SO2・NO2の排出削減,フロンの回収・水質保全といった環境改善まで含めると,その費用は効果を上回っている.それをだれが負担するかは,国民の関心の高まりもあり,当然企業や国民が負担すべきである.それには,さらに具体的な進 状況について,例えば,森林整備,緑化事業の推進はどのくらいが目標で,CO2換算でどれだけの効果があるとか,冷暖房の節約ではどうかとか,また,自動車排ガス規制ではこの程度の達成で,将来目標はこれくらいであり,さらに不足分はCO2排出権の購入が必要であるというように説明して,国民の関心を高めることが必要と思うが,いかがでしょうか.
一石二鳥
岐部明廣(熊本県・人吉市医師会)
病診連携,病病連携が盛んに推奨されています.紹介患者さんが訪れる機会が増えてきています.しかし,紹介患者さんの内服している薬剤をまったく知らないのが頻繁にあります.そのたびに,日本医薬品集で調べる手間は膨大なものです.例えば,会員の先生で次の薬品のうち五〇%以上を知っている方はおありでしょうか?
レセプロン,リビリスター,リーナック
ラインタット,ブラークハウス,パンルーク
アーチメント,カモエント,カルモザシン
パンクレール,カモスタール,フオイパン
私は,どうにか最後の二品目のカモスタールとフオイパンを知っているだけでした.ところが,どれもフオイパンと同じ「メシル酸カモスタット」です.日本医薬品集で調べる手間を省くための私の提案ですが,
提案【A】:フオイパン以外のジェネリック品は,メシル酸カモスタット(沢井)のように一般名表示へ変更する.
提案【B】:カモスタールの場合はフオイパン(東和薬品)
リビリスターの場合はフオイパン(大正薬品)といった具合に,先発品名の後にジェネリック品の製造元の会社名を書く(ジェネリック品製造会社は,先発品の製造会社にフオイパンの登録商標使用料を払う). このように表記すれば,レセプロンもリーナックもだれもが日本医薬品集を調べることなしにフオイパン(メシル酸カモスタット)とわかります.この提案では,商品名が著しく減少し,紛らわしい名前の薬剤の誤った投与等の医療過誤も減少すると考えられ,一石二鳥と思います.日医もこの提案を厚生労働省へ提言してほしいと考えます.
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