日医ニュース
日医ニュース目次 第1025号(平成16年5月20日)

日医 定例記者会見

保健所長の医師資格要件に言及

日医の考えを述べる櫻井副会長
 厚生労働省は,四月二十三日,保健所長の医師資格要件に関する見直し方針を公表した.
 これを受けて,厚生労働省の検討会に委員として出席していた櫻井秀也副会長が,四月二十七日に記者会見を行い,「最近の鳥インフルエンザへの対応をみてもわかるとおり,SARS,新興感染症への対応等,国民の生命・健康を守るためには,医学的見地からの迅速かつ的確な判断が必要である.万が一,対応を誤れば,それは一地域の問題に止まらず,日本全体,さらには海外にまで甚大な健康被害を引き起こす可能性もあり,保健所長は医師であるべきと考えている.したがって,今回の方針のように例外規定を認めることには反対である.
 一方,公衆衛生に精通したより高い水準の医師を確保するための検討を始めることには賛成であり,医師確保策についての日医の意見を積極的に述べていくつもりである」と日医の考えを明らかにした.
 なお,見直し方針によれば,保健所長は公衆衛生に精通したより高い水準の医師であることが必要であるが,医師を確保することが困難な自治体もあることから,(1)公衆衛生医師確保推進室の設置(2)「地方公共団体における医師確保に関する環境整備検討会(仮称)」によるロードマップの作成(3)国立保健医療科学院での研修体制の強化等の対策を実施.医師確保に向けた努力をしたにもかかわらず,公衆衛生に精通した適切な医師が確保できない場合には,一定の条件のもと,例外的措置として,医師以外の者を保健所長とすることを可能にするとしている.
 一定の条件としては,(1)公衆衛生行政に必要な医学的専門知識に関し医師と同等またはそれ以上の知識を有する技術吏員(2)一定期間以上の公衆衛生の実務経験(3)一定の養成訓練の課程(国立保健医療科学院の保健所長用一年コース)を修了―等を挙げており,正式には,地域保健法施行令の改正がなされることになる.
 保健所長の医師資格要件については,平成十四年十月,地方分権改革推進会議の要望を踏まえ,厚生労働省が,「保健所長の職務の在り方に関する検討会」を設置.その後,平成十五年六月に「この問題に関しては平成十五年度中に結論を得る」との閣議決定がなされたことを受けて,幅広い観点からの検討が続けられ,本年三月に報告書が取りまとめられた.しかし,この報告書では保健所長の医師資格要件を変更すべきか否かについての一致した結論を得ることができなかった.厚生労働省は,報告書の内容と地方分権改革推進会議の動向を踏まえて省内で検討を行い,今回の方針を公表したものである.

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