日医ニュース
日医ニュース目次 第1040号(平成17年1月5日)

混合診療の全面解禁を阻止
引き続き,国民とともに活動を

 尾辻秀久厚生労働大臣と村上誠一郎内閣府特命担当大臣との間で閣僚折衝が行われ,いわゆる「混合診療」問題ならびに中医協の在り方の見直しに関する合意が昨年12月15,17日と相次いでなされた.
 これを受けて,植松治雄会長は,12月21日,日医会館で記者会見を行い,日医の考えを明らかにした.

「中医協の見直しには注視していく」と述べる植松会長
 植松会長は,まず,いわゆる「混合診療」問題の合意について,「現行の特定療養費制度のなかにはいろいろなものが入っており,日医としても見直す必要があると主張していた.今回の合意もその方向が示されており,十二月十五日のコメント(下掲)でも述べたが,現時点では了承できる内容となっている.しかし,その内容はあくまでも総論的なものであり,今後具体化していく段階で,意見を述べていきたい」とした.
 また,今回の合意に至った大きな要因として,六百万人分の署名をもとに行った請願が衆・参両院の本会議で採択されたことがあるのではないかとの認識を示した.
 具体的には,国内未承認薬の使用に関して,(1)制度的に切れ目なく,保険診療との併用が可能な治験体制を確立するとしていること(2)少なくとも,米,英,独,仏で新たに承認されたものについては,自動的に治験の対象とするとしたこと(3)新たに設置される検討会を,定期的に開催し,最長でも三カ月以内に結論を出すとしていること(4)治験における患者さんの費用負担が高くならないように,必要な措置を講じるとしていること―等については,「今回の合意で新たに出てきたもので,患者さんにとっては利益になるのではないか」と述べた.
 その他,必ずしも高度でない先進技術も含め,先進技術の保険導入の際は,新たに設定する要件を満たしているか,医療機関ごとではなく,個々の医療技術ごとに判断するとしたことに関しては,「例えば,大学病院でもすべての技術が水準以上というわけではなく,それぞれ得意分野があるわけで,今回の決定は評価できる」とした.

中医協の見直しの行方に注目

 中医協の見直しについては,「その合意内容は不満だらけである」としながらも,中医協の在り方を議論する場が厚生労働省内に設置されたことは評価できるとし,今後はそのメンバー構成がどのようになるのか注視していくとともに,厚生労働省とも意見交換していきたいとした.
 また,検討状況を随時,「社会保障の在り方に関する懇談会」「経済財政諮問会議」および「規制改革・民間開放推進会議」に報告するとしていることについては,このことが議論の足かせになることを危惧した.
 さらに,中医協の役割を診療報酬の点数配分のみに限定しようとする声があることを問題視.中医協の機能・役割の在り方については,十分な議論をすることを要望した.
 最後に,植松会長は,この一年を振り返って,「これからも具体的に解決すべき事項は多いが,小泉首相が指示した混合診療の全面解禁を阻止できたことについては,日医の責任が果たせたのではないかと考えている.これもひとえに会員,都道府県・郡市区医師会の努力の成果であり,国民参加のもとに運動ができたことに拠るところが大きい」と述べるとともに,「この成功を大きな力として,引き続き,国民医療推進協議会の活動を積極的に行っていきたい」とした.

平成16年12月15日

いわゆる「混合診療」についてのコメント

 このたびのいわゆる「混合診療」の全面解禁の見送りは,それなりにわれわれにとって意義があります.合意の内容については,一部満足とはいえない部分もありますが,総合的にみて,われわれの主張に沿っていると理解できます.
 今後,中医協の問題が重要課題になることは認識しており,積極的に対処していきたいと思います.

日本医師会
会長 植松 治雄

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