日医ニュース
日医ニュース目次 第1042号(平成17年2月5日)

視点

新医師臨床研修制度の現状と課題

 インターン紛争のあと,昭和四十三年に見切り発車の形でスタートした卒後臨床研修は,多くの問題点が指摘されながら実に三十余年を経た平成十六年に新医師臨床研修制度として,やっと改革された.
 従来の任意制から必修化されたことは,わが国における良き医師育成の観点からみたとき遅きに失した感があるが,医学教育関係者の悲願がやっと実ったといえるだろう.
 新医師臨床研修制度の特徴は,必修化になったことの他,(一)研修医マッチングシステムの導入,(二)研修プログラム・到達目標の設定,(三)地域医療実践病院の臨床研修への参加拡大,(四)プライマリケア重視の臨床能力の習得,(五)指導体制の充実,(六)研修医の給与・指導医への支援保証などが挙げられる.このことは,かつてのインターン紛争のときのような混乱が二度と起こらないよう考慮されたものである.
 研修医のマッチングは,平成十七年度は昨年十月二十八日に発表されたが,参加者(医学部六年生)も参加病院も平成十六年度より増加した.参加者の希望病院は,大学病院対研修病院が五対五と大学病院離れが起こっている.
 研修プログラムでは内科,外科,救急部(麻酔科を含む),小児科,産婦人科,精神科,地域保健・医療は必修であり,一年目研修は内科,外科,救急部で研修し,内科については六カ月以上としている.地域保健・医療を研修することは特筆すべきことであるが,これは臨床研修協力施設に研修医をお願いする形をとる.協力施設として,地域の診療所や小病院の他,保健所,介護老人保健施設,赤十字血液センターなどが挙げられている.協力施設として約三千施設が登録されており,このうち診療所が約三六%,小病院が約一六%,保健所・保健センターが約一七%となっている.実際に地域保健・医療研修で,研修医がどこを選択するか未知数だが,それは単独型・管理型病院の研修プログラム,指導医のアドバイスなどが鍵を握っているものと考えられる.
 研修医の待遇も原則として平均月三十万円が支払われることになっている.
 このようにして新医師臨床研修制度は始まったばかりなのでその成果を論ずることはできないが,解決しなければならない問題点として,評価(プログラム,研修医など),指導体制などが挙げられるが,最も大きな課題は,この二年の臨床研修を修了したあとの研修医の進路である.再び母校の大学医局へ戻るのか,そのまま研修病院に残るのか,他の病院へ移るのか,それは専門医修得とも絡んでどういうトレーニングを受けるべきなのか,そうしたトレーニングコースはこれから論じられることになる.

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