日医ニュース
日医ニュース目次 第1051号(平成17年6月20日)

勤務医のひろば

勤務医部会20周年を迎えて

 京都府医師会勤務医部会は二十周年を迎え,記念誌を発刊した.過去を振り返り座談会を,また未来に向かって「二十一世紀の医療」と題してシンポジウムを行い,現時点の活動を記録に残した.
 座談会では,勤務医会員の増えない原因として,会費問題の存在や開業医中心の医師会における勤務医への偏見が取り上げられ,二十年前の勤務医部会設立当時の課題が,今なお根強く存在していることが浮かび上がった.
 一方,シンポジウムでは,勤務医を取り巻く医療界の大きな変化をふまえ,社会常識が医療に入り込んできている現状や医療経済への対応,情報ネットワークの構築など,新たな展望が論じられている.
 日医は,これまで厚生省と良い関係で医療政策を進めてきた.しかし,厚生「労働」省が相手となった今,日医は労働分野での十分な政策提言を考えているのだろうか.女性医師の問題,労働時間など労働契約の問題,医局に変わる医師供給源としての派遣業態の問題など,勤務医の抱える将来的課題は,その多くが労働分野にあるように思える.
 従来は特殊な職業であった「医業」が,医療の質や医師の増加・偏在など,多くの問題を露呈し,その解決の道筋のなかで普通の職業へと急速に変わり出している.この流れは医師・患者にとって望ましい姿であるが,そのことをしっかりと認識していない医師も多い.
 新しい医師像の確立のために,日医学生部会を設立し,早くから純粋な気持ちで医師会活動に若い力を注ぐことを求めてはどうか.医療の質の向上等への取り組みも欠かせないが,「労働者としての医師」の視点を重視した日医の今後の活動にも期待したい.

(京都府医師会勤務医部会幹事長 赤坂裕三)

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