日医ニュース
日医ニュース目次 第1064号(平成18年1月5日)

女性会員 懇談会から

女子医学生と女性勤務医の現況

 多くの女性医師たちが,能力をもちながら,そのキャリアを十分発揮できていない現状を変えるためには,具体的にどのような対策が必要か.日医の各種委員会の一つとして設置された女性会員懇談会では,女性医師の就労をめぐる現状分析と対策について継続的に話し合ってきた.
 卒後二十年以内の北海道在住の女性医師を対象に,平成十年,十六年と二回行った就労環境調査と,平成十六年札幌医科大学医学部学生に対して行った調査の結果をもとに,女性医師の現実と女子医学生の認識を報告する.
【女医であることはメリットか】
 女性医師は,平成十年には回答者の一〇%がメリット,四%がデメリットと感じ,八一%がどちらも感じると答えたのに対し,平成十六年にはメリットと感じるが増加した(二一%)のが特徴的であった.一方,女子医学生は将来女医となる際,二一%がデメリットと感じると回答,メリットと捉えている者がわずか三%しかいなかった.同年の女性医師の五%がデメリットと考えている現実と比較し,女子医学生が必要以上に不安をもっていることがうかがわれた.
【勤務に当たり男女差を感じるか】
 平成十年の女性医師は,勤務に当たり四〇%が男女差を感じ,二五%が感じないと回答.平成十六年には,男女差を感じる者が二九%と減少,逆に三六%が差を感じないと回答,少なくとも意識上は差が縮まってきている結果が得られた.しかし,ここでも女子医学生の四〇%が勤務上の男女差を感じ,六年前の女性医師のとらえ方と,くしくも一致していた.
【将来の希望勤務形態】
 女性医師は,医師であることは結婚の妨げにはなっておらず(平成十年:四七%,十六年:五三%),結婚しても仕事を続けたいと答えた(平成十年:七九%,十六年:八九%).また,女子医学生の七一%が将来勤務医として働きたいと考え,四%は大学のスタッフとしてキャリアを発揮したいと回答.一方,夫の育児協力が得られているのは,平成十年,十六年ともに六〇%であり,むしろ協力が得られない回答が増加しており(平成十年:一六%,十六年:二六%),医師夫婦の置かれた厳しい現実が表面化した.
 今後,女子医学生,若い女性医師に対し,多様な女性医師像のモデルを提示しつつ,キャリアを中断せずに働いていける体制を作ることが急務であることを改めて提言したい.

(北海道医師会 藤井美穂)

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