日医ニュース
日医ニュース目次 第1071号(平成18年4月20日)

新会長記者会見
「日医の政策を国政に反映させる」

 唐澤人会長は,四月一日,竹嶋康弘・宝住与一・岩砂和雄各副会長とともに会長就任後初の記者会見に臨み,今後の日医の方針などについて説明を行った.

(左から)
岩砂・宝住副会長,唐澤会長,竹嶋副会長
 唐澤会長は,まず,今回の会長選挙を振り返って,「われわれは,(1)地域医療から得られたデータを基に医療政策を立案していく(2)その政策を国会議員,行政官庁に対して丁寧に説明することで,日医の政策を国政に反映させていく(3)医療を取り巻く昨今の問題については,みんなで考え,会員すべてが共有することによって日医の大きな力としていく―という三点を強く主張してきたが,それが代議員の先生方に支持され,今回の結果につながったのではないか」と,その勝因を分析した.
 日医が今後果たしていくべき役割については,学術団体としての役割に加えて,「国民の求める医療を提供していくための政策を立案し,国や行政官庁に対して示していくことがあるのではないか」と指摘.「国民も日医に対してこの役割を求めていると考えており,執行部一丸となってその使命を果たしていきたい」と述べた.
 政権政党との関係については,「日医が政権政党から話を聞いてもらえないような関係になってしまうことは,国民にとっても,医療関係者にとっても不幸なことである.政権政党に対して,『医療とはこういうものなのだ』ということをきちんと説明できる立場を維持していきたい」とした.
 政府が進めている医療制度改革については,予防医療の重視や在宅医療の推進など評価できる点もあるとする一方で,財政優先で改革が進められていることを問題視.このようなことが続けば,必ずや医療の中身に大きな悪影響を及ぼすことになると指摘し,その打開策として,国民の求める医療を提供していくことで,国民からの支持を得ることを挙げた.
 また,日医総研については,「日医や医療担当者のためばかりでなく,国民のためになるような政策を立案できるシンクタンクとなるように努める」と,その組織立て直しに意欲を示した.
 一方,三副会長も,それぞれ,今後の抱負などを明らかにした.
 竹嶋副会長は,日本全体を見回したうえで,地域による格差が生じないような医療政策を作っていくことが重要になると指摘.さらに,「地域医療・保険医療の現場で日夜仕事をしている医師が,誇りをもって国民のために働くことができる場を提供していきたい」とした.
 宝住副会長は,「国民と医師との距離を縮め,国民の目線で医療を提供していくことが一番重要と考えている」と強調.また,今後については,(1)国民の医療に対する不満を積極的に解消していくこと(2)会員の声を直接日医に届けるシステム作りを進めていくことに取り組んでいくとの考えを示した.
 岩砂副会長は,昨今よくいわれているEBMについて言及.「根拠に基づく医療というものも必要であるが,患者さんの痛みや望んでいることを理解したうえで,医療を提供していくことも重要と考えている.最近はそのような考え方が忘れられがちであり,それらを取り戻せるよう努力していきたい」と述べた.

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