第1074号（平成18年6月5日）

唐澤会長
日本医師会役員就任披露パーティー
「国民からの信頼こそ医療の基本」

　日本医師会役員就任披露パーティーが，5月16日，都内のホテルで開催された．今回は，第114回日本医師会定例代議員会で発足した唐澤執行部の初の披露パーティーであり，小泉純一郎総理はじめ，1,100名を超える多数の参加者で会場はにぎわった．

立礼をもって出迎える唐澤執行部

来賓あいさつの小泉総理

　小泉総理「医師会の協力勢力になる」

　パーティーは，午後四時三十分，竹嶋康弘副会長の開会のあいさつで始まり，多忙のなかを駆けつけた小泉内閣総理大臣が祝辞を寄せた．首相は，「私は医師会の抵抗勢力であると思われているが，それは大いなる誤解である．国民の最大の関心事は医療であり，健康に勝る財産はない．医師会が国民の医療のために尽力していることは，だれでも知っている．しかし，現代のような厳しい時代においては，高度成長期のように選挙支援をしてくれた支持団体の言うことを何でも聞くというのは不可能であることを理解してほしい．これからは自らの分野の利益だけを考えるのではなく，より広範な視点から物事を考えることが，政治でも医療の世界でも求められていくだろう」としたうえで，「私が決して医師会の抵抗勢力ではなく，協力勢力であることを理解・認識していただき，今後いっそうの協力をお願いしたい．日本医師会には唐澤新会長の下，日本の医療の発展に尽くしていただきたい」との期待を述べた．

あいさつを行う唐澤会長

　唐澤会長「日医の使命は国民の生命と健康を守ること」

　つづいてあいさつに立った唐澤人会長は，来賓・参会者への謝意を示すとともに，「医療をめぐる状況は非常に厳しい．少子高齢化の進展で日本の人口は減少の傾向にあるが，とりわけ少子化への対応が大事である．日本医師会の使命は，国民の健康と生命を守ることであると自覚しており，だれでもどこでも一枚の健康保険証で医療を受けることができる，わが国の宝・国民皆保険制度を堅持したい．また，国民の身近にいる，かかりつけ医が医療提供体制の中心となり，専門医療や高度な医療は，対応可能な医療機関に紹介するシステムを国民本位で充実させていきたい．このシステムの充実が無駄を省き，国民の安心・安全を確保し，国民の信頼に応える方途だろう．新執行部は，これらの仕事に取り組むために，気概に燃えている．皆様方からのいっそうの支援をお願いしたい」と強調した．
　その後，新役員が壇上に整列し，司会者が一人ずつ紹介した．（写真下）

壇上に整列した新役員

来賓あいさつの河野衆院議長

　来賓祝辞では，河野洋平衆議院議長が，「私は四年前に大きな手術を受けたが，現在，元気でいられるのは日本の医療の成果であると認識しており，医師の方々には感謝している．小泉首相が言われたとおり，確かに日本の財政は危機的な状況にあるが，だからといって，医療までが横並び（で犠牲）になることはないと感じている．ぜひとも，日本医師会が，国民の気持ちを汲み上げて，医療政策として政府などに進言していただきたい．自ら往診をされるなど，積極的に地域医療を実践されてきた唐澤新会長の下，国民が安心できる医療体制づくりに励んでいただきたい」と述べた．
　つづいて登壇した安倍晋三内閣官房長官は，「簡素で効率的な政府を目指すが，世界に冠たる公的保険制度は守りたい」，武部勤自由民主党幹事長は「自民党は唐澤執行部の誕生を新しいパートナーシップの始まりと考え，説得・納得の関係を築いていきたい」，森喜朗前内閣総理大臣は，「ラグビーでは試合中は激しくぶつかり合うが，ノーサイドの笛が鳴れば，お互いの健闘を讃え合う．医師会も選挙のしこりを残さず一致団結してほしい」とあいさつ．

唐澤会長と小泉総理

　また，公務で出席できなかった川崎二郎厚生労働大臣の祝辞を，赤松正雄副大臣が代読し，「日本医師会が，国民医療の確保とわが国の医療制度の構築に大きな役割を果たされてきたことに感謝の意を表する．唐澤会長には十六万医師会員のリーダーとしてだけでなく，日本の医療政策のオピニオンリーダーとしての役割を期待したい．政府は現在，医療制度改革に取り組んでいるが，日本の優れた医療制度に誇りを持ち，限られた医療資源のなかで，これを将来にわたって維持・発展させていくことが大切である．今後は，お互いに率直に議論し，意思の疎通を図っていきたい」とした．
　来賓あいさつの後，石川育成代議員会議長の音頭で乾杯が行われ，その後，麻生太郎外務大臣が祝辞を寄せた．唐澤執行部の船出の披露パーティーとあって，多くの閣僚を始めとする国会議員が出席し，会場は立錐の余地もないほどの盛況ぶり．唐澤会長の周囲は，激励の言葉を述べる来賓者であふれた．
　午後六時三十分，宝住与一副会長が出席者に対する謝辞を述べ，パーティーは盛会裏に終了した．