日医ニュース
日医ニュース目次 第1075号(平成18年6月20日)

竹嶋副会長
参議院厚生労働委員会で意見陳述

竹嶋副会長/参議院厚生労働委員会で意見陳述(写真) 国会の会期末が間近に迫り,医療制度改革関連法案の審議が大詰めを迎えている.このようななかで,竹嶋康弘副会長は,六月七日,参議院厚生労働委員会に参考人として出席し,本法案に対する日医の考えを説明した.(写真)
 竹嶋副会長は,本法案の趣旨について,「患者さんの立場から,安全で質の良い医療を効率的・持続的に提供する体制を構築し,併せて国民皆保険制度を将来にわたって維持するためのものと考えている」と述べ,本法案に対する一定の理解を示した.その一方で,医療現場からの視点で見ると,公平・公正で良質な医療を確保するという面では,なお問題点が多いと指摘.今後の国会審議のなかで慎重な審議を行うとともに,附帯決議や政省令などによる運用面での改善を要望した.
 具体的な問題点としては,まず,国民医療費に関する厚生労働省の将来推計に基づいて,混合診療を容認するかのような条文が出てきていることを問題視.毎回,予測値と実際の結果が大きく乖離している厚労省の将来推計を基にして,国の施策を決定し,国民に負担を強いるようなことがあってはならないと批判した.そのうえで,これ以上の自己負担増は,医療保険制度の崩壊につながると,その危険性に言及し,国は平成十四年の健康保険法改正の際に設けられた附則第二条「医療に係わる給付の割合一〇〇分の七〇を維持する」を国民との信義においても堅持すべきと主張した.
 また,昨年末に国民医療推進協議会が行った“患者負担増に反対する署名活動”で集まった千七百万名を超える多くの国民の声を,政治・行政の場に反映して欲しいと要望した.
 介護療養型医療施設の廃止については,在宅医療の基盤整備が十分に進んでいないなかで,これが実施されれば,“介護難民,医療難民”と呼ばれる人々が大規模に発生するなど,社会的な影響があまりにも大きいと予測されると指摘.「今回の措置はあまりにも唐突で,論理性や計画性に乏しいと言わざるを得ない」と述べ,日医としても内容の見直しを早急に提言したいとした.
 さらに,診療報酬と介護報酬の同時改定が本年四月に行われたにもかかわらず,制度間の横断的・継続的な整合性がなく,いわゆる“社会的入院”と言われる患者さんに対する問題の解決策が示されなかったことを問題視し,改善を求めた.
 そのほか,都道府県ごとに医療費適正化計画や保険料を設定する方針については,地域の医療格差,給付と負担の不平等が生じないよう求めたほか,医療機能の集約化・重点化を図ることによって,医師や診療科の偏在が逆に助長されることのないように新たな仕組みを構築することを提案した.
 なお,当日の模様は,参議院インターネット審議中継(http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php)で視聴することができるようになっている.

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