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第1083号(平成18年10月20日) |

患者様

二十〜三十年前は,医師は「お医者様」であり患者様は「患者」であった.医事紛争などはめったになく,たばこを吸ったり,お茶を飲みながら,外来診療をしている光景も珍しくなかった.
患者を患者さんと呼ぶか患者様と呼ぶかは,時々論議されることである.調べると接尾語としての「様」は「敬意を表す」表現とある.患っている者に対して「様」を付けることがおかしいという意見もあるが,医師を始めとした医療従事者が患者に対して,より一層丁寧に対応させるための一手段とも考えられる.院内掲示板等の文書では「患者様」で,口頭では「患者さん」とする方法もある.
また,似たようなことだが,少し異なるのが患者の名前を呼ぶ場合に「様」を付けるかどうかである.名前を呼ぶ場合の呼称として「○○様」なのか「○○さん」なのかが問題となる.最近,受付や患者の呼び出しなどで「○○様」と呼ぶ病院は多いようだが,地域によりだいぶ異なるようだ.
筆者は,診察中に医師が「○○様」と呼ぶことについては,どうしても抵抗を感じる.患者から見た「○○様」の反対意見もある.「○○様」と呼ばれることにより,お客様扱いされているようで身近な感じがなくなり,診療が商売のように感じ,営利的印象がかえって不信感を抱かせることがある,というのがその理由らしい.
最近,患者に対する医師の態度が悪いことが遠因と思われる医事紛争が目立ってきた.患者に丁寧な態度で接し,十分なインフォームド・コンセントを持つことが重要なことは言うまでもないが,「患者様」という医療側の心構えが,医事紛争を少しでも軽減させることに一役買うことができればよいのではないだろうか?
(や) |