日医ニュース
日医ニュース目次 第1087号(平成18年12月20日)

視点

イメージアップ戦略

 唐澤執行部は,発足直後から,広報戦略の抜本的見直しに取り組んでいる.その柱は,できるだけ多くの情報を会内外へリアルタイムに発信することと,国民へのイメージアップ戦略である.
 十月からは,後者の一環として三篇の日本医師会テレビCMの放映を始めた.その狙いは,固定化された「既得権益を守る圧力団体」というネガティブイメージからの脱却である.
 広告代理店が行った事前調査では,国民の日医へのイメージは驚くほど厳しいものだった.このような現状では,どのような主張や活動も,「患者が減って収入が減るから困るのだろう」と曲解されてしまう.
 三篇のCMは,あえて意見広告的な内容を避けた.金持ちの団体が患者を減らさないためにCMを流していると受け取られると思ったからだ.少しずつ国民のなかに,「こんなことも主張し,活動しているんだ」「意外に国民の側に立っているんだな」「そういえば,かかりつけの先生も医師会の役員らしい」という意識が芽生えていけばと思う.今回のCMの対象は,一般国民,特に女性層・主婦層を意識した.
 先月,担当の広告代理店が,首都圏の四十代,五十代の男女十数名に対して,インタビュー調査を実施した.改めてCMを見てもらった後の感想として,男性グループは日本医師会への印象もCMにも厳しい評価だった.
 女性グループはCMに関しては好印象を持った人が多かった.
 「自分も看護師に言われた経験があります.一言の重み,言い方が大事だと思う」「いい先生は多いと思いますけど,(そのような暴言を吐く医師も)何人かはいますよね.父が大腸がんですが,本人の前で『まだ生きていたの』と言われました」「日本医師会には期待します.そういう宣言をするのだから」など,日医を身近に感じ,期待したいとの意見が寄せられた.われわれの意図を少なからず理解していただいたと思う.このような積み重ねが国民の日医への評価につながるのではないだろうか.
 CM放映時の視聴率を累積すると,十月の一カ月間で,全国で延べ九千万以上の家庭で日医のCMが流れたことになる.CMの内容について,多くのご意見があることは十分に承知しており,今後,より効果的なものに進化させて行きたい.
 性急に結果を求めることは避けなければならない.細くて長い道のりではあるが,着実に日本医師会のイメージアップが図られることを確信している.

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