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第1091号(平成19年2月20日) |

今,医療に求められているもの

今,医療に求められているものは,医療の安全と医療に対する信頼であると思う.そのためにどうすればよいのか?
現在,日医が取り組んでいる,イメージアップ広報を開始する前に調査した,日医に対する国民のイメージは,惨憺たるものであった.
「あなたは日医をどう感じていますか?」の問いに,「非常に好き」〇・五%,「やや好き」二・九%,「どちらでもない・分からない」六一・一%,「あまり好きではない」二四・三%,「嫌い」一一・二%というものだった.
しかし,医師会と関係なく,国民に尋ねた,「あなたがかかっている“かかりつけ医”(先生)を信頼していますか?」との問いには,九二%の人が「信頼している」と答えている.その信頼を,医師の団体の信頼にまでつなげることが,われわれ日医執行部の責務と思っている.
そのためには,いつでも,どこでも,誠実に,患者さんを診断・治療し,患者さんが安心できる医療体制をつくることが重要だと考えている.
高齢化社会に向け,これからは,老人医療の問題を避けて通ることはできない.現在,日医では,医療・介護の地域ケア体制と,いわゆる「かかりつけ医」機能の復権が,二十一世紀の高齢者医療における医師の役割と考え,取り組んでいる.
そして,先ごろ,本来の医療・介護のあるべき姿を追求していくうえでの基本的なスタンスとして,「在宅における医療・介護の提供体制―『かかりつけ医機能』の充実―指針」を取りまとめた.
その基本的な考え方は,(一)尊厳と安心を創造する医療,(二)暮らしを支援する医療,(三)地域の中で健やかな老いを支える医療―の三つである.
さらに,その実現のために,(1)高齢者の尊厳の具現化に取り組もう(2)病状に応じた適切な医療提供あるいは橋渡しをも担い利用者の安心を創造しよう(3)高齢者の医療・介護のサービス提供によって生活機能の維持・改善に努めよう(4)多職種連携によるケアマネジメントに参加しよう(5)住まい・居宅(多様な施設)と連携しよう(6)壮年期・高齢期にわたっての健康管理・予防に係わっていこう(7)高齢者が安心して暮らす地域づくり,地域ケア体制整備に努めよう―という七つの提言をしている.
われわれ執行部は,この指針の考え方に基づいて,全力で取り組む所存である.会員諸氏のご協力を仰ぎたい.
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