日医ニュース
日医ニュース目次 第1091号(平成19年2月20日)

勤務医のページ

平成18年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会
勤務医の過重労働の問題等について協議

 平成十八年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会が,平成十八年十一月十三日,日医会館小講堂で開催された.
 唐澤人会長は,冒頭のあいさつで,経済財政諮問会議や財務省のリードによる政府の医療費抑制政策が進められるなかで,市場原理主義による医療改革を進める勢力と闘っていくには,開業医,勤務医の別なく,日医が一致団結して対応していかなければならないと強調した.

全国医師会勤務医部会連絡協議会

 平成十八年度の協議会を担当した埼玉県医師会の谷本秀司常任理事より,「勤務医のアンガージュマンを求める」をメインテーマとして,平成十八年十一月四日,さいたま市内で開催され,現在の医療費抑制政策が勤務医の過重労働や勤務医不足につながっていることなど,活発な議論が行われたことが報告された.
 つづいて,平成十九年度担当の沖縄県医師会の安里哲好常任理事より,次回は,平成十九年十月十三日に那覇市内において,メインテーマ「高めよ勤務医の情熱 広げよう勤務医の未来」と題して開催予定であるとの報告があった.

都道府県医師会からの勤務医活動報告

 宮城県医師会(橋本省常任理事),山梨県医師会(飯田龍一理事),愛知県医師会(川原弘久理事),長崎県医師会(草場泰之常任理事)より,勤務医(部会)の活動状況等の報告があった.

協議(意見交換)

 ○勤務医の過重労働について
 栃木県医師会の福田健常任理事より,勤務医の過重労働の問題は埼玉県で開催された勤務医部会連絡協議会でも熱心な議論が行われたが,実際の行動に移す時期に来ているのではないかとの指摘があった.
 また,大阪府医師会の藤田敬之助理事は,勤務医の過重労働により勤務医は病院を離れ,地域医療が崩壊しつつあり,日医が国民運動を通じてその解決策を策定するよう要望があった.
 石川県医師会の中村彰理事は,「医師は労働基準法違反だと言われても,目の前に患者さんがいれば診察し,医療を守るために身を粉にして働くが,労働基準局は労働基準法を遵守して働くなと言う.われわれはどうすればいいのか」と厳しい実情を訴えた.
 一方,愛知県医師会の川原理事からは,地区医師会が診療所に呼び掛けて,一次救急を終日引き受けるようにできれば,勤務医と開業医が一致団結できる基になるのではないかとの指摘があった.
 また,高知県医師会の濱脇弘暉常任理事は,国民は医師が不足しているのを分かっており,日医が国民や国に訴えていくいいチャンスであると強調.静岡県医師会の武井秀憲理事は,労働基準法違反をする根本は勤務医師数の絶対的不足であるので,それを逆手に取れば労働基準法の問題は医師不足を訴えていく良いツールになると指摘した.
 これに対して,鈴木満常任理事は,「根本的な要因は国の低医療費政策であるので,これを変えてもらうしかない.厚生労働省には医師に医療秘書をつけることを予算化するよう要望しており,医師不足に関する問題については繰り返し訴えている」と強調した.
 ○勤務医の医師会費等について
 福岡県医師会の家守千鶴子理事より,勤務医の会費負担や入会のメリット論,所属医師会を異動する際の手続き等の問題で,勤務医部会の運営に苦慮している実態が報告された.
 茨城県医師会の伊東良則常任理事,愛知県医師会の川原理事からは,勤務医に医師会へ入会してもらうためには,思い切って会費を引き下げるべきとの指摘があった.
 これに対して,石川県医師会の中村理事は,勤務医の会費を引き下げても会員が増えるとはあまり考えられないので,会費を下げるのではなく,会費に見合うサービスを日医が示すべきであると強調した.
 また,宮城県医師会の橋本常任理事は,最近,勤務医部会と日医が対決とまではいかないものの,別の組織のような雰囲気が少し出てきたように感じられるが,それは「相手」にとっては思うつぼであるので,勤務医と開業医が一体となって日医の力を高め,要求を通りやすくしていく必要があると述べた.
 最後に,唐澤会長は,「財政削減優先の医療政策により,病院では多くの専門職や必要な人材を削減したため,医療秘書が行ってもいい仕事を勤務医が全部行っている.それに加え,日常的な外来診療が基幹病院でも行われているため,勤務医が多くの時間を割かれて過重労働になってしまっている」と指摘.「一般診療所でも総合的な診療ができれば,外来診療のかなりの部分を担うことができる.そのような地域医療のあり方がこれからは必要になる」と述べた.
 また,「日医は喫緊の課題として勤務医に関わる問題に取り組んでいる.今後は行政官庁や政権与党に対して,しっかりとした戦略をつくり上げて説明していかなくてはならない.勤務医が置かれている現状は十分把握しており,必ず展望のある未来をつくっていきたい」と,勤務医の過重労働の問題について,真剣に取り組む姿勢を強調した.

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