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第1095号(平成19年4月20日) |
第42回社会保障審議会介護給付費分科会
「療養病床の転換支援に係る諮問」を即日答申

第四十二回社会保障審議会介護給付費分科会が,三月二十九日に都内で開催され,天本宏常任理事が出席した.
分科会では,施設基準の緩和を柱とする「療養病床の転換支援に係る諮問」について審議が行われ,同諮問を了承.社会保障審議会を通じて,柳澤伯夫厚生労働大臣に即日答申した.
療養病床の転換支援措置は,省令の改正等を経て,本年五月から施行される予定.
諮問では,これまで,療養病床を有する病院が,介護老人保健施設(老健施設)に転換する際に適用されていた,廊下幅・床面積に関する施設基準の緩和措置を,診療所の療養病床および一般病床にも拡大するとともに,食堂・機能訓練室における面積基準を緩和する.
この措置により,療養病床を有する病院から転換した老健施設については,従来からの緩和措置に加えて,食堂「一人当たり一m2以上」,機能訓練室「四十m2以上」の施設基準が適用されることになる.
また,療養病床を有する診療所から転換した老健施設については,療養室「一人当たり六・四m2以上」,廊下幅「内法一・二m以上(両側に居室がある場合,内法一・六m以上)」,食堂・機能訓練室「食堂+機能訓練室一人当たり三m2以上」または「機能訓練室が四十m2以上(食堂が一人当たり一m2以上)」となる.
なお,一般病床を有する病院・診療所から老健施設に転換する場合も,同様の措置を認める.床面積に関しては,平成二十三年度末までの経過措置となる.
さらに,転換した老健施設が,医療機関と併設している場合,当該医療機関との診察室,階段,エレベーター,出入り口等の共用が認められることになる.
特別養護老人ホームについては,施設食堂・機能訓練室・廊下幅に関し,老健施設と同様の基準緩和を行う.
この諮問に対して,天本常任理事は,施設基準だけを緩和するのではなく,看護職員などの人員配置基準も含めた一体的な見直しが不可欠であると指摘.療養病床の入所・入院者の状態を勘案すると,平成二十一年度の介護報酬改定を待つ猶予はないとして,厚労省に早急な対応を求めた.
この要請に対して,厚労省は,人員配置基準見直しの重要性は認識していると述べ,「介護施設等の在り方に関する委員会」で,その見直しに向けた議論に取り掛かるとの考えを示した.
また,当日の分科会では,介護老人福祉施設等における「重度化対応加算」,ならびに,短期入所生活介護,特定施設入居者生活介護等における「夜間看護体制加算」の算定に当たって,常勤の看護師に代えて常勤の看護職員でも算定可能とする経過措置を,平成二十年三月末まで延長する旨の諮問について審議が行われ,同諮問を了承.ただし,了承に当たり,「各介護老人福祉施設等は,看護師の確保に関する計画を立て,看護師の確保に努めるとともに,看取りに関する研修の充実に努めること.また,厚労省及び都道府県は,各介護老人福祉施設等における看護師の確保に対する支援措置を講ずること」という文言が付記された.
このほか,介護報酬改定後の動向について,厚労省から報告があった.
天本常任理事は,三月十四日の中医協総会で,次期診療報酬改定を待たずに,リハビリテーション料の見直しが行われ,答申に「維持期リハビリテーションの在り方について,調査,検討を行う」との附帯意見が付けられた意義を強調.医療・介護保険制度間の整合性等の観点から,介護保険においても,「リハビリ難民」への早急な対応が必要であると述べた.
また,平成十七年十月改定で保険外負担となった,介護施設における食費・居住費の低所得者対策として実施されている補足給付額をただし,保険料を補足給付として給付していることを問題視.介護保険料が目的外使用されていることを再検討すべきと問題提起した.
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