日医ニュース
日医ニュース目次 第1105号(平成19年9月20日)

特定健診・特定保健指導(6)
電子化の課題

 平成二十年度から始まる特定健診・特定保健指導では,標準的なデータファイル仕様で電子的記録を作成し,医療保険者に対して提出することが義務化されている.これは平成十七年にすでに決まっていたことである.
 当初より,厚生労働省として,健診データ等の電子化に対応するためのフリーソフトを提供すると説明されてきたが,いまだにその内容が具体的になっていない.このため,来年四月の健診事業スタートまでに,電子化に向けての基盤整備が間に合わない可能性が大きくなってきた.
 日医では,この現状を勘案し,電子化できない健診機関の後方支援として地域医師会や民間事業者による代行入力機関の整備を検討している.代行入力の前提として,(一)特定健診に絞ったソフトの開発,(二)紙媒体の標準様式を設定,(三)電子化までの経過措置─等を強く主張している.
 (一)については,特定健診以外に介護予防における生活機能評価,がん検診,肝炎検診,骨粗鬆症検診等の検診結果を,従来どおり紙ベースでの提出とすることで,対応するものである.
 (二)については,電子化に対応できない医療機関が出てくると考えられ,そのための対策を検討しているところである.都道府県,郡市区医師会で取りまとめていただき,代行入力機関に送付,もしくは医師会自らが業務を行うことを想定している.代行入力機関としては,医師会健診施設,民間事業者等いくつか考えられるが,現在,折衝を進めているところである.代行入力業務に際しては,多少のコストがかかることも考えられる.
 (三)については,フリーソフトの提供が遅れていることから,電子化への移行に経過措置が必要で,時期を先送りすることを求めている.また,電子化にかかわる基盤整備に関して,補助金等の措置も併せて求めているところである.
 その他,データ処理,データの利活用や,事務手続きの簡素化等のために,関係者それぞれが開発を進める現状は,極めて非効率的と考えており,協議を進めているところである.
 また,電子化の形態としては,CD-Rやフロッピー・ディスク,光磁気ディスク(MO)などが考えられるが,いずれにしても,セキュリティーに関する万全の備えが必要だと考えている.

(常任理事・内田健夫)

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