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第1108号(平成19年11月5日) |
世界医師会(WMA)コペンハーゲン総会
─ヘルシンキ宣言・マドリード宣言の修正など,継続審議に─

右から2人目が岩砂WMA副議長 |
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世界医師会(WMA)総会が,十月三日から六日まで,デンマークのコペンハーゲンで開催された.
日医からは,岩砂和雄副会長(WMA副議長),井石哲哉・鈴木聰男両理事,飯沼雅朗(WMA理事代理)・天本宏・今村定臣・石井正三(WMA理事)各常任理事,有山雄基代議員会副議長,畔柳達雄参与が出席した.四十五加盟医師会の代表および国際機関から,総勢約二百七十名が参加,このうち日本からは三十六名であった.
会議前日には,WMA執行部の事前会議に,岩砂WMA副議長が,ヘルシンキ宣言の作業部会に,飯沼・石井両常任理事と畔柳参与が出席した.
総会は,三日に常設委員会(医の倫理,財務企画,社会医学),四日に準会員会議と学術集会「ヘルスケアと情報技術(IT)」が開催された.五日は理事本会議と総会式典が行われ,アイスランド医師会のジョン・スネーデル氏が第五十九代WMA会長に就任した.六日の総会全体会議で,投票により次期会長にイスラエル医師会のヨラム・ブレイシャー氏が選出された.
総会での決議事項の概要は,以下のとおりである.
(一)医の倫理関係
(1)「遠隔医療の倫理に関するWMA声明」「移植用ヒト組織に関するWMA声明」が採択された.
(2)ヘルシンキ宣言修正案および医師の自律を扱うマドリード宣言の修正案については,日医を含む作業部会での検討が継続されることとなった.
(二)社会医学関係
「家族計画および避妊に関する女性の権利に関するWMA声明」「ジンバブエにおける健康の権利と人権の侵害に関するWMA決議」が採択された.
(三)財務企画関係
(1)『世界医師会雑誌(WMJ)』の改訂については,資金計画やWMAウェブサイトとの連携も含めて,日医も参加している作業部会での継続検討となった.
(2)二〇〇八年以降の総会開催国
二〇〇八年:韓国(ソウル・学術集会テーマ:医療と人権)
二〇〇九年:インド(ニューデリー)
二〇一〇年:カナダ(バンクーバー)
(3)二〇〇八年以降の理事会開催国
二〇〇八年:フランス(ディボンヌ)
二〇〇九年: イスラエル(テルアビブ)
(4)新規加盟医師会は,カーボヴェルデ(加盟医師会数は八十九となった)
(四)準会員会議
「小児を対象とする医学研究の倫理的原則に関するWMA声明案」について作業部会を設置し,ヘルシンキ宣言と並行して検討することとなった.その他の案件は撤回または否決され,旧日本帝国陸軍の七三一部隊にかかわる決議案は支持がなく,討議の対象とはされなかった.また,準会員会議のあり方について,今後,日医とアメリカ医師会を中心に検討することとなった.
なお,総会期間中に,イスラエル,台湾,ドイツ,韓国の各医師会と個別に意見交換を行った.
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