日医ニュース
日医ニュース目次 第1117号(平成20年3月20日)

勤務医のページ

平成19年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会
勤務医をめぐる諸課題について協議

 平成十九年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会が,平成十九年十一月三十日,日医会館小講堂で開催された.
 協議会は,鈴木満常任理事の司会で開会.冒頭,唐澤人会長は,「新たな財源の確保を強く要求し,勤務医の過重労働の軽減を図りたいと考えている」とあいさつした.

全国医師会勤務医部会連絡協議会

 平成十九年度の協議会を担当した沖縄県医師会の安里哲好常任理事は,「『高めよう勤務医の情熱,広げよう勤務医の未来』をメーンテーマとして,平成十九年十月十三日,沖縄県那覇市内で協議会を開催した.フロアからの意見・質問等に関する時間をより長く設けることと,それらの質問等に対する論陣を可能な限り揃えることの重要性を痛感した」と報告した.
 平成二十年度の協議会を担当する千葉県医師会の石川広己理事からは,「平成二十年十一月二十二日,千葉県浦安市内において,協議会を開催する予定である.勤務医の窮状に対して,少しでも出口が見えるような議論を考えていきたい」との報告があった.

都道府県医師会からの勤務医活動報告

 栃木県医師会の福田健常任理事は,同県医師会の勤務医部会が実施した栃木県内の勤務医師数調査(十三基幹病院の過去十年の推移)を基に,新医師臨床研修制度が導入された時期に著しい医師数の減少が見られることや,産科・小児科のみならず,内科についても同様に医師数が減少していることなどを説明した.
 富山県医師会の能登啓文理事からは,七月に設立された勤務医部会の概要や,設立に当たっては,さまざまな部門から参加してもらうことを最重要視したことなどの説明があった.
 奈良県医師会の山本博昭理事は,院長等の役職でない勤務医の医師会活動への参画等に関連して,大学に籍のある医師へのアプローチや,研修医に対する会費の値下げなどの取り組みを報告した.
 鳥取県医師会の武田倬理事は,県および県内各地区医師会において,平成十六年度から研修医の会費無料化が実現していることなどを説明.また,十月に実施した非会員を含めた勤務医意識調査の結果として,勤務医の週平均実働時間五十九時間以上が,四二・五%に上ることなどを報告した.

協議(意見交換)

 (一)医療崩壊に対する取り組みでは,岩手県医師会の望月泉常任理事から,「短期的な医師確保対策としては,マグネットホスピタル構想も視野に入れた医師派遣体制を構築し,地域における医療を担っていくしか方法はないと思う」との意見があった.
 (二)医師会の組織力強化について,福岡県医師会の家守千鶴子理事は,入退会・異動等の手続きの煩雑さも相まって,勤務医の入会が進んでいない状況を問題視.各都道府県医師会の取り組みを質した.
 茨城県医師会の伊東良則常任理事は,全勤務医が加入できるような入会金・会費を設定すべきであると指摘.
 一方,愛知県医師会の川原弘久理事からは,まずは,現在会員になっている勤務医が抱える問題点を汲み上げ,日医として解決していくという視点を強調してはどうかとの意見もあった.
 また,医師会への強制加入に関する,福井県医師会の大中正光副会長の質問に対して,宝住与一副会長は,医師が自発的に医師会に加入できるような体制を整備していくことが,より現実的ではないかとの見解を示した.
 (三)その他では,大阪府医師会の藤田敬之助理事が,患者さんに迷惑を掛けない形での,当直翌日勤務のボイコット,デモ行進の実施を提案した.
 奈良県医師会の山本理事からは,日医が主催する会合等で,各種団体の同意を得て,実行するのも一つの方法ではないかとの意見があった.
 また,泉良平日医勤務医委員会委員は,すべての都道府県医師会に勤務医部会を設置し,勤務医の意見を集約していくことも必要であると指摘.同部会の設置に当たっては,日医や勤務医部会の関与が必要であると意見を述べた.
 広島県医師会の高田佳輝常任理事からは,全国医師会勤務医部会連絡協議会を討論のできる場としてつくり変えて欲しいとの要望・提案があった.
 これに関連して,福島県医師会の有我由紀夫常任理事は,協議会における勤務医の熱意を冷ますことなく,紙上討論のような形で取り組みを継続・展開することを考えてもいいのではないか,との意見をそれぞれ述べた.
 このほか,愛媛県医師会の首藤貴常任理事からは,同県医師会勤務医委員会委員へのアンケート(四月実施)結果が報告され,医師賠償責任保険に対する税制上の控除等について要望が出された.
 また,愛知県医師会の川原理事は,夜間に軽症者が二次・三次病院に集中するため,二次・三次救急が機能を失い,それが勤務医の疲労につながっていると指摘.そのような流れをセーブするためにも,夜間における保険外併用療養費を取れるようにして欲しいと要望した.

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