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第1123号(平成20年6月20日) |

5月28日
厚生労働省第三次試案に関する日医の見解を公表

木下勝之常任理事は,厚生労働省が公表した「医療の安全の確保に向けた医療事故による死亡の原因究明・再発防止等の在り方に関する試案─第三次試案─」に対する日医の見解を取りまとめ,五月二十七日に厚労省に提出したことを報告した.
同常任理事は,本見解を取りまとめるに至った経緯について,厚労省第三次試案に関する都道府県医師会へのアンケート調査を実施し,都道府県医師会担当理事連絡協議会を開催して原案を作成したうえで,改めて,都道府県医師会に対して意見を求め,最終的な日医の見解として取りまとめたと説明.
さらに,都道府県医師会から,刑事罰の適応の問題や行政処分の在り方,調査委員会の設置場所,重大な過失の定義,および救急医療現場における対応,現在ある院内事故調査委員会との関係,あるいは県単位の剖検システムとの関係など,まだ明確にすべき点や疑問があるとの反対意見も出されたことに触れ,これらの明確にすべき内容は,改めて厚労省に要望を行うことはもちろん,警察庁・法務省に対しては,試案の記載内容の遵守を強く求めていくとした.そのうえで,「これらの意見は,貴重な意見として受け止めつつも,多くの医師会が賛意を示したことを重く受け止め,厚労省第三次試案に基づき,医師法第二十一条の改正と,医療安全調査委員会設置の法制化を強く要望するものとした」と述べた.
さらに,同常任理事は,現状の仕組みが存在する限り,診療関連死は警察へ届け出なければならず,それが刑事訴追への流れを作っていることから,その仕組みを変えるために,関係省庁と現実的な対応をしてきたことを改めて強調.「厚労省の第三次試案は,厚労省,警察庁,法務省,遺族を含めた状況下での議論のなか,お互いが,それぞれ納得したうえでまとめた試案であり,その試案に基づいた制度が出来れば,医療安全に資する原因究明と再発予防を目的とする医療安全調査委員会として機能することとなり,医師のみならず国民にとっても望ましい方向へ向かっていくだろう」と,制度創設への理解を求めた.
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