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第1124号(平成20年7月5日) |
社会保障審議会介護給付費分科会(6月18日)
介護事業経営概況調査に議論が集中

三上常任理事(中央) |
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第五十一回社会保障審議会介護給付費分科会が,六月十八日,都内で開催された.
分科会の冒頭,新任の三上裕司常任理事が紹介され,あいさつした.
当日は,(一)介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律等,(二)平成十九年介護事業経営概況調査結果,(三)介護サービス事業の事務負担の見直し,(四)介護予防サービスの定量的な効果分析─について,それぞれ検討された.
(一)では,介護サービス事業者の不正事案の再発を防止するための「介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律」,介護従事者等の賃金水準,環境改善に関する「介護従事者等の人材確保のための介護従事者等の処遇改善に関する法律」それぞれが,本年五月に衆・参両議院において可決・成立したことを受け,法律の施行に向け,介護給付費分科会においても検討することが確認された.
(二)では,介護報酬設定の基礎資料として,平成十九年度の概況調査が提出され,介護サービスの費用調査の結果が示された.今回の概況調査は,四千八百施設・事業所(抽出率約四%)を対象に行われたが,各委員から,客体数や有効回答数の少なさが指摘され,概況調査の信頼性が問われた.
また,九月ごろに結果が公表される予定の,二万三千八百施設・事業所(抽出率約二〇%)を対象とした詳細調査についても議論が及び,各委員より,客体数の充足,調査方法,収支差率の評価に関する意見が相次いだ.
三上常任理事は,調査方法について,「中医協でも議論されているが,客体数が少ない場合でも,定点調査とすれば,有効な数字が得られるのではないか」と提案した.
(三)では,介護サービス事業の実態把握のためのワーキングチームからの報告を受け,事務負担の見直し方針として,(1)他の事務手続き・書類と重複しているため代替可能なもの(2)様式や項目を削減・簡素化しても必要な情報が得られるもの(3)事務手続き・書類作成頻度が必要以上に高いもの(4)都道府県・市町村の独自の判断により,国が求めているものよりも詳細,または頻度が高いもの─といった,削減や簡素化が可能な事務手続き・書類について検討する案が示された.各委員からは,「利用者が記入する書類の簡素化」「地域による事務手続き格差の是正」「国から市町村への情報伝達」などについて要望があった.
(四)では,平成十八年四月から導入された介護予防施策の効果を検証するため行われた,定期的な効果分析(第二次分析)結果が示された.
新予防給付導入の効果については,一年間で千人を追跡調査した結果,要介護度悪化者数が約四〇%減少したとして,有意な介護予防効果が認められ,特定高齢者施策導入の効果については,要介護度悪化者の発生率は減少したが,統計学的な有意差は認められるほどではなかったと報告された.今後は二,三年調査を継続し,その分析結果を見ながら,効果が検証されることになった.
そのほか,三上常任理事は,日医の介護保険委員会が平成二十年三月に取りまとめた答申「『指針』の実現に向けて」を資料として提出.「将来ビジョンを支える三つの基本的考え方」と「将来ビジョンを具現化するための医師,医師会への七つの提言」を紹介した.
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