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第1125号(平成20年7月20日) |
海外出張報告
岩砂副会長,石井常任理事がアメリカ,ブラジルを歴訪

石井正三常任理事は,六月十三・十四の両日,ハーバード大学公衆衛生大学院武見国際保健プログラムの視察のため,アメリカのボストンを訪問した.さらに十五日からは,岩砂和雄副会長とともに,二〇〇八年アメリカ医師会年次総会に出席.その後,一行は,十七日から五日間,ブラジル移民百周年記念日伯医学交流記念大会などに出席するため,ブラジルのサンパウロを訪れた.
武見国際保健プログラムを視察(6月13・14日)
武見フェローによる報告会 |
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武見国際保健プログラムは,国際保健に関する知識の向上,医療関連機関や医療政策の国際交流に寄与することを目的として,一九八三年に,日医の協力によって,ハーバード大学公衆衛生大学院(HSPH)に設置されたものである.それ以後,これまでに四十七カ国百九十六名(うち日本人は三十六名)の武見フェローを輩出.フェローは,プログラム修了後,主に国際保健の第一線で幅広い活働をしている.
今回,石井常任理事は,その視察を目的として,HSPHを訪問.同プログラム担当のマイケル・ライシュ教授,同大学院ウィリアム・シャオ教授,武見敬三客員研究員らと面会し,武見プログラムの運営や,国際保健および両国の医療問題について協議した.また,日本人二名を含む武見フェロー八名から研究報告を受け,各研究に対してアドバイスを行った.なお,日本人フェローの研究テーマは,「セネガルの公的保健医療施設における正常出産ケア」と「日本の小児科医のダイナミクス分析」.
その後,ハーバード大学リスクマネジメント財団の佐藤隆功部長による「アメリカの医療安全への取り組み」に関する講演を拝聴し,意見交換を行ったほか,HSPHや医学部の日本人研究者ら十数名と懇談した.
2008年アメリカ医師会(AMA)年次総会に出席(6月15・16日)
Dr. Nielsenアメリカ医師会長(左から2人目)と
Dr. Davis前会長(右から2人目) |
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岩砂副会長ならびに石井常任理事は,六月十五・十六の両日,アメリカのシカゴで開催された二〇〇八年アメリカ医師会(AMA)年次総会に出席した.
総会期間中には,会長のDr. Davis,次期会長のDr. Nielsenと面会したほか,理事会議長Dr. Langston,次期理事会議長Dr. Heyman,業務最高責任者Dr. Mavesらと日米両国の医療制度に関する意見交換,ならびに今後の世界医師会(WMA)を通じた国際貢献のあり方などについて懇談した.
また,WMA会長Dr. Snaedalを始めとする海外からのゲストと個別に懇談の機会を持った.
翌十七日には,新会長の就任式が行われ,Dr. NielsenがAMA史上二人目の女性会長となった.
ブラジル移民100周年記念日伯医学交流記念大会に出席(6月17〜21日)
講演後,会場からの質問に答える
岩砂副会長(左から2人目)と石井常任理事(右) |
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岩砂副会長ならびに石井常任理事は,ブラジルのサンパウロで開催されたブラジル移民百周年記念日伯医学交流記念大会に出席するため,六月十七日から二十一日にかけて,同国を訪問した.
同国は,人口約一億八千万人で,そのうち日系人とその子孫は約百五十万人いるとも言われ,世界最大の日系人社会を有する.医師数は約二十万人で,そのうち日系人医師が約一万五千人を占めており,日系人医師のブラジル医療界での大きな実績が評価されている.
二〇〇八年は,日本人がブラジルに移民してから百周年の節目に当たる.この百周年に併せて企画された日伯医学交流記念大会に対して,ブラジル医師会長のDr. Amaralから,唐澤  人会長を医学交流記念大会名誉会長として招待したいとの申し出があり,それを受けて,会長代理として岩砂副会長,および石井常任理事が出席することとなった.
大会には,約八百名の医療関係者が参加.講演では,岩砂副会長が,「日本の医療制度と問題点」について概説したほか,石井常任理事が,「日本の医学教育制度と日本医師会の生涯教育制度」について紹介した.また,これらの内容について,活発な質疑応答が行われた.
サンタクルース病院での意見交換 |
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サンパウロ滞在中,一行は,日系ブラジル人への医療提供の中核を担うサンタクルース病院,ならびに日伯友好病院を視察.サンタクルース病院は,日本人移民二十五周年を記念して,一九三三年に皇室からのご下賜金,ならびに有志の寄付金をもとに建設された日本病院が基礎となった病院である.一方,日伯友好病院は,本館の他に九カ所の分館を有する医療機関で,日本人のブラジル移民上陸八十周年に当たる一九八八年に開設され,その建設に当たっては,日医からも援助を行っている.
さらに,一行はブラジル医師会長Dr. Amaral,ならびにパウリスタ(サンパウロ州)医師会長Dr. Curiを始めとするブラジル人医師,ならびにブラジル国内で活躍する多くの日系人医師らと,両国の医療制度について懇談の機会を持った.このほか,広島県医師会とパウリスタ医師会が姉妹医師会提携を結ぶこととなり,その調印式にも出席した.
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