日医ニュース
日医ニュース目次 第1130号(平成20年10月5日)

プリズム

私の読書術

 秋の気配が濃厚に感じられる今日この頃,灯火親しむ読書の秋の到来である.
 いつ頃からか,小生は,読みたいと思って買い置いた本,目についた本などを集中的にこの時期に読みふけるのが恒例となった.
 と言っても,平均して十冊内外しか読了出来ないが,普段は月に一〜二冊しか読まないことから考えると,やはり秋は私にとって読書の季節なのである.
 京都では,毎年恒例の古本市が,お盆の頃,下鴨神社境内で開催される.
 毎年のぞきに行けるわけではないが,緑陰の下,涼風の薫るなかで,いかにも読書好きそうな人に混じって面白そうな本を探すのは私の密(ひそ)かな夏の休日の楽しみでもある.
 かつて,ある人に言われたことがある.「一生かかって読めるまともな本は,せいぜい五百冊程度だよ」と.
 確かに,毎月一冊確かな本を読んだとしても,なかなか五百冊には届かないだろうし,確かな本に遭遇するには,その何倍も読まねばならない.
 そう考えると,読むべき本の選択は読書に費やす時間を勘案すると慎重にならざるを得ない.
 しかし,古本市に行くと,それぞれの古書の風格,安価に手に入るラッキーさに,ついつい買い込みすぎて,秋の乱読に努めざるを得ないのが私の例年行事である.
 早めにベッドに入り,就寝前の楽しみとして著者の展開する小宇宙に遊泳する.すぐに眠くなる時もあれば寝不足に陥ることもある─つまり,当たり外れのあることもまた楽しい.
 だから,やはり読書の秋は楽しい.

(元)

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