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第1131号(平成20年10月20日) |
中医協(9月24日)
薬価制度改革に関して議論

中医協総会ならびに薬価専門部会が,九月二十四日,厚生労働省で開催された.
総会では,九月一日から保険適用された医療機器として,医科六十件(区分A2:二十七件,区分B:三十三件),歯科五十一件の合計百十一件の報告を受けた.
次に,「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応」では,効能追加の薬事承認がなされた医薬品のうち,アルガトロバン水和物(ノバスタンHI注10mg/2mL,スロンノンHI注10mg/2mL)については,「ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)II型における血栓症の発症抑制」に対して使用した場合は,「標準的な使用における薬剤費の見込み額が,使用していない症例の薬剤費の平均+1SDを超えること」という基準に該当するため,包括評価の対象外とし,出来高算定とすることを中医協として承認した.
これに関連して,藤原淳常任理事は,現行ルールでは出来高算定とすることができないが,短期入院で使用される場合等で医療機関の持ち出しとなってしまう事例を示し,ルールの弾力的な運用を要望した.
「介護老人保健施設入所者に対する処方せんの交付」では,療養担当基準上の手当てを行うことが提案され,了承された.
介護老健施設入所者に対しては,平成十二年度より(1)抗悪性腫瘍剤(内服)等については医療保険より算定出来ることとなっており,療養担当基準でも,この取り扱いを明確化していた.このような中で,平成二十年度診療報酬改定において,医療保険より算定出来る薬剤として,(2)ダルベポエチン(3)疼痛コントロールのための医療用麻薬(4)B型肝炎・C型肝炎等に対する抗ウイルス剤(5)B型肝炎・C型肝炎に対するインターフェロン製剤(6)血友病の治療に係る血液凝固因子製剤および血液凝固因子抗体迂回活性複合体─が加えられた.しかし,現在,介護老健施設入所者に対して保険医が処方せんを交付出来るのは,これらの薬剤のうち,(1),(3),(4)に限定されていたという誤りが判明したため,今回の措置を行うこととなった.
薬価専門部会では,「平成二十年度薬価制度改革において引き続き検討を行うこととされた事項」について,協議が行われた.前回(七月九日)は資料の提出とともに,専門委員から,特許期間中の新薬の薬価算定方式(日薬連案)に関する説明が行われ,さまざまな質問や意見が出されたことから,当日は,補足資料が提出・説明され,改めて特許期間中の新薬の薬価維持の実現が訴えられた.
その後の意見交換では,「薬価制度の基本的構造を変えることになるのではないか」「透明性や流通改善などの課題の検討が必要ではないか」などの意見が出された.
藤原常任理事は,「大手製薬企業が潤沢な利益を上げているが,一方で医療は崩壊寸前にある.医療費財源の抑制が続いている現状で,国策として製薬企業を育てると言われれば仕方がないが,同じ土俵にある者としては,国民の視点から見ていかがなものか」と指摘.日本独特の良いシステムがあるので現状のままでよいのではないかとの考えを示した.
次回以降は,論点を整理し,この方向で議論を進めていくことになった.
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