日医ニュース
日医ニュース目次 第1133号(平成20年11月20日)

プリズム

特別入院基本料(その2)

 特別入院基本料という仕組みをご存知だろうか.簡単に言うと,病院で看護師が規定の数に達しないと,入院基本料が四〇%削減される仕組みである.七対一看護が導入された二年半前から設定された.
 入院基本料は,七対一看護から始まり四段階あるが,最低ランクの十五対一看護体制の病院がその標的である.上の三段階の病院は,平均在院日数や正看護師の比率など比較的似通っているが,十五対一看護体制の病院は,平均在院日数六十日まで,正看護師比率四〇%以上など特異な存在である.厚生労働省としては,早く退場してもらいたい部類の病院であろう.
 平均在院日数の短縮は厚労省の悲願であるが,現実の医療の場から遊離した政策は,現場に著しい混乱を招く.この事は,療養病床削減の事実上の失敗を見ても明らかである.
 都会はともかく,地方では十五対一看護体制病院は地域医療にとって重要である.中核病院と在宅や施設の間にあって,潤滑油的な役割を果たしている.この「いじめ」にも近い特別入院基本料の廃止や軽減措置は取れないのだろうか.この問題も含め,有床診療所,小規模病院,療養病床などが,これ以上衰退しないようにしてもらいたい.そのことが地域医療崩壊を改善する一つの方策であると考える.

(北)

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